メドゥーサちゃんは恋がしたい。
けにお。
第1話 山崎颯太は振り向かせたい。
「ソータ! ソータ!」
ゆっさゆっさ、と体を揺すられて目を覚ます。丁度枕の上に置いてある時計を見ると時刻は朝の5時。
「シェアナ……いつも言っているが起こしてくれるのはありがたいが如何せん早すぎーーーー」
「あれっ! あれはナニ!?」
俺の言葉を遮ってシェアナは窓の外の桃色の花を指差す。
「…………あれは桜といって、この国の象徴みたいな花だ」
「へぇ……! サクラ……綺麗ねっ!」
そう言って屈託のない笑顔を向けらたらさっきまでのイライラも吹っ飛んでしまう。
案外、俺も単純だよな。
俺はベットから起き上がり、カレンダーを見る。
本日は春休み最終日。俺は一つ思いついてシェアナに話しかける。
「シェアナ、桜見に行くか」
「!!」
俺がそう言うと、シェアナはとびっきりの笑顔で頷いた。
「うんっ!!」
****
異世界留学生制度。
数年前から始まったこの制度は、数十年前に発見された異世界からの多種族を我が国日本に留学させるという友好関係の象徴と言える制度だ。
我が国には異世界の土地の調査と未発見の資源を。
異世界には我が国の知恵と技術を。
相互ウィンウィンの制度となっている。
そしてもうすぐ、ウチにシェアナがやってきて一年になる。
やってきた、と言うよりは手違いで日本に紛れ込んでしまったシェアナを俺が保護した形だ。
シェアナは薄紅藤色の髪を纏っており、その髪は蛇になる。要はメドゥーサだ。
国によると、異世界むこうでもメドゥーサは珍しいらしく、送還しようとしてもメドゥーサの髪や瞳は密漁の対象になるのだとか。胸糞の悪い話だ。
そのため、シェアナは帰国を拒否。俺の家に滞在しているという訳だ。
そして俺、山崎颯太は彼女、メドゥーサのシェアナに惚れていた。
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