第6話 

「なんなんだよマレー語って意味わかんねえ」

「どうしてそこまで外国語嫌いなのに入ったんだよ」

「ノリですよ」

「ノリで学部を決めるなよ」


 今日も今日とて意味が分からん外国語を学びそのまま学部校舎を出る。取り合えず一服入れるためにプラプラと外を友人と歩いている。

 

「やっと見つけましたの!! 」

「んん!? 」


 聞きなじみの有る声を聴いて、男はそのまま足早に過ぎ去ろうする。今は授業終わり。この時間は帰る人間、校舎変更、さぼり、と色々な人間が交差する時間。大丈夫まだ大丈夫、この女子高生をスルーしても僕に何一つ違和感はない


「お、おい何か美少女がお前読んでるぞ」

「気のせいだろ? 」

「いや気のせいではないだろう」

「バカ、俺みたいな男に声をかける女子高生なんかいる訳ないだろ」

「そこのひょろなが止まりますの!!」

「呼ばれてるだろ」

「いいや、気のせいだ。だれがひょろがりだ馬鹿野郎」

「がりとは言われてないけどな」

「ばらしますわよ!!」

「悪い気のせいじゃなかった。悪いけど先に帰っててくれない?」

「さっき180度違うこと言ってるじゃねえか。なに彼女? 」

「な訳ねえだろ」

「知ってる」


 まあ、いいや。後で聞かせろよと言い。空気を読むことに定評がある友人はの場を立ち去ってくれた。


「追いつきましたの」

「えーとどちら様でしょうか」

「いや正直気持ちは分かりますけどそれは無理がありますの」


 少し同情の顔を見せながら陽菜は男を現実逃避から現実に戻した。


「・・・なんでここが分かったの?」

「あなたが財布を投げた時に学生証を見ましたの。私ときーちゃん付属校の生徒ですし。先週から連絡取れなかったから何回か参りましたの」

「俺は先週一週間参ってて、今日さっきの友達からツイート見せられてもっと参りそうですの」


 ツイートとは言わずもがなきーちゃんアカウントの呟きである。


「あれはきーちゃんツイートの中でも断トツの盛り上がりですの」

「数年前に1000年さん位?」

「数年前の1000年さん位の盛り上がりですの。すでに数十社のネットマスコミ、民放からの取材申し込みが殺到してます。きーちゃんといーちゃん二人の写真は世間にそれほどのインパクトを与えましたの」


 1000年さんレベルとは思わなかった。まさかそこまでの拡散がなされているとは。アカんはこんなん


「で、肝心の麻衣は?」

「きーちゃんはビビりが加速してここ数日は休んでおりますの」


 ところで。陽菜が男に問いただす


「次はいついーちゃんになりますの?」

「なりません」


 男は間髪入れすに返した。


「なりませんの?」

「なりません」

「本当に?」

「メリットが」

「デメリットならあるかもしれませんの」


 そういって陽菜は携帯を持ち出したそこにはRECと映されている


「まさかこんな古典的な手に自分が引っかかる日がくるとは」

「悪いと思いますの。けどきーちゃんのためなら私は鬼になりますの」

「いーちゃんにももう少し優しくなってくれない?」

「これからに期待して欲しいですのね」

 

そういって陽菜はくるりと踵を返した。


「そういえば陽菜ちゃん学校は」

「・・・・」

「貴様さぼったな」

「そ、そうともいいますのね」


 学校さぼって付属大学に人探しに来るとか度胸どうなってんだ?


「さて、ということで私はあまりここにはいれませんので早く行きますの」

「どこに?」

「きーちゃん家ですの」

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