第2話いじめダメゼッタイ
あぁ、何かが薄れていく・・・・何か大切なものをなくしていくのを感じる・・・大切な約束・・・あぁ・・・なんだろうか・・・・自分を証明するものがなくなっていくような・・・俺は何だ?誰だ?なにを求めていたんだ?・・・あぁ・・・・雨に洗い流されて雨と混ざっていく・・・・・・
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いつの間にか俺は歩いていた。
最後の最後に2連敗してしまった。どんな相手だったかとかは詳しく思い出せないのだが・・・そんなことを考えながら道を歩いていた。俺はどこをあるいているのだろうか?死後の世界だろうか?何だか今までの記憶も少しずつ薄くなってきている。死んだら川があるとおもっていたが、歩く道はそこまで現実世界とは変わらないような気がする。いや、いろんなものが大きく高く見えるということだけは別だ。もしかしたら死後の世界では物がいちいち1.5倍ぐらいなのだろうか。ん?なんかでかい自販機の近くにJK二人組ががいるな。雰囲気悪いけど。もしかしたら百合百合しているかもしれないし会話でも聞いてみるか。
「___あんたさぁ、そうやってちっちゃくなってなんかあったら謝ったり気持ち悪い愛想笑いしたりすんのやめろよ。キモイし腹立つんだよ。それのせいでこっちが悪いことしてるみたいじゃん。実際昔から私だけが怒られてあんたはおとがめなしってこと何度もあったよね。ほんっとマジハラタツ」
「す、すいません。」
「はぁ!?話聞いてた?!」
「ごめんなさいすいませんすい」パァン!
・・・
いじめだろうか?いや、これがいじめじゃなければ何をいじめというのか。
JKが二人で片方は何だか地味な奴でおどおどしている。もう片方はイライラしている。まぁ言っていることが全て本当のことだとしたら分かる。だが、理屈がわかるというだけで今やっていることを許せるかということなら別だ。昔からそうなのだとすれば分かっていて付き合っているということだろう。それにそういうなよなよしている奴は基本的には弱者だ。弱者が守られることなんて傷つけられた時間に比べると一瞬だ。
「はぁ。」
その言葉を見るたび、聞くたび、思い出すたびににため息が出てくる。
いじめか・・・
俺もいじめられたことがある。あまりにも昔のことだからということなのか、その時はいじめだと思っていなかったなのか、死んだ影響なのかちゃんと思い出せないのか、まぁなんにせよだ。いじめのことはあまり思い出せない。が、いじめられて泣いて帰った時のことは鮮明に覚えている。確か雨の日のことだ。父にいきなり竹刀を握らせられて試合をいきなり始めさせられたというようなことがあった気がする。はじめて持った竹刀は重くて縦に振るだけでこけてこけたところをしばかれて死ぬかと思ったという話だが、今ではあのとき叩かれてよかったのかもしれないと思うようになってきた。まぁ、それは父が怖くて無意識のうちに批判するようなことを思うことすらできないのかもしれいない。まぁ、思い出に浸る(現実逃避)のはこれぐらいにしておいて、目の前のことに集中しよう。これは間違いなく間違った行為だ。ひさしぶりに怒りの感情が訪れる。どうせ死後の世界、好きなようにさせていただこうか。
「おい、やめろよ。人を傷つけて楽しいのかよ!」
多分この瞬間一番驚いたのは俺だろう。多分今までの俺だと、近くまで行ったときに何も言えずに通り過ぎるはずだったが、喉から声が出てしまった。
「は、はぁ!?」
怖い。いじめたやつもしっかりびっくりしているが、キレて動揺を押し殺している。ような気がする。少年漫画とラノベの読みすぎかもしれない。だが、これはチャンスだ。これはこれでいい。「いじめはよくないだろ」おい、語彙力、俺の語彙力もっと頑張れ。
「うっ」
効いているかもしれない!語彙力はニートしているがいけるかもしれない!
「どっかいけよ!」
「は、お前キモイ、マジキモイから。」
普通に傷つく言葉だ。だがしかし、ここはがんばるしかない。
「キモイしか言えないのかよ」
「は、キモ、キモ か、帰るは。バイバーイ。」
すぐ近くの自転車のスタンドを蹴ってごたごたしながら逃げて行った。白かった。白い奴には悪い奴はいないからな。もしかしたらいい奴なのかもしれない。終わった後に現実から逃げてもまぁ無駄かもしれないが。ははははは。乾いた笑顔で勝ち誇ってみてもあまりうれしくない。やってしまったという後悔で相殺されてしまっているだ。まぁとにかく一時的なものとはいえ、いじめをとめたのだ。俺の勝ちだ。
パパパパーパーパーパッパパー
これは2.3レベぐらい精神が成長した戦いではなかろうか。死ぬちょっと前はゲームすら楽しむ余裕がなかったことをぼんやり覚えている。もしかしたらこれぐらい心に余裕があったらあの時の試合も違ったものになったのかもしれない。絶対勝てないとは思うが。
自分の思い出の苦さを味わい終わり、まだ終わっていないのだと唇を噛んで真剣な精神を取り戻して、いじめられていたやつを見るとちっちゃくしゃがんで泣いていた。水色か。いいね。ちょっと見えるリボンが可愛らしい。人はどんな時でも欲情できるというが流石に泣き声を聞きながら欲情はできないなと思った。泣いている人間の前ではやはり逃げがちな自分の心の弱さをひしひしと感じながら子供のように泣いていた。そして立ち上がって、まだ涙を流しながら過呼吸になりながら、久しぶりに泣いちゃったな、なんて呟いて。
「ありがとう。君すごいね。」
礼を言った。眼をしっかり合わせて
「え、あぁ まぁ そんなこといよ」
噛んだ。陰キャは目を合わせて話せないのだ。まぁいっか。おどおどした俺を見て笑ってくれたようだから。この笑顔。初めて何かを守りたいと思えた気がする。だが、そんなことより気になることがある。何だか話し方がちっちゃい子に対する様な感じなのだ。すべてのものが大きく見える現象から察するにこれはもしかして・・・・
「私そんな年の時、いや、まぁ今もだけど、そんなすごいことできなかったよ。」
やっぱり、
「ねぇ、お姉ちゃん、鏡持ってない?」
「お、お姉ちゃん?ふふ、鏡ね、はいどうぞ。ふふ」
ちょっと変な笑いをみせたJKからうけとった四角い手鏡を通してみた自分は・・・・
(ショタに転生している!?)
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