我等は【白狐ノ代行役】である!

2138善

第1話 道摩満と白狐の館ーーー①

 俺、道摩満どうまみつるは、物心ついた頃から他人には見えないものが見えていた。そのせいで妄言ばかり吐いて皆を困らせる子というレッテルを貼られ、周囲に馴染めず、俺はいつも孤立していた。見えないものが見えるちからは成長するにつれて強くなり、この不安を誰も理解してくれない孤独と恐怖から、俺は荒れた中学時代を過ごした。毎日喧嘩三昧で、中学3年になる頃には【鬼神きしん道摩どうま】なんてダセェ徒名あだなで呼ばれ畏怖されるようになり、地元で俺を知らないヤツはいなかった。そんな問題児に散々手を焼いてきた両親はついに匙を投げ、高校進学と共に俺を京都に住む婆ちゃんのところへ追いやった。

 だけど環境が変わったからといって、そう簡単に自分を変えられるわけもなく。

 入学初日、偶然同学年の女子が上級生にカツアゲされてるのを目撃し、目障りだったのでうっかり殴ってしまったのだが、上級生を殴ったという部分だけが噂となって瞬く間に学校中に広がった。おかげで翌日には教室で浮いた存在となった。俺に話し掛けてくるクラスメイトはおらず、教師も腫れ物を扱うように接する。別にそれでいい。むしろそれでいい。好都合だ。他人と、誰かと関わりを持つのは今までの経験上、大抵ろくなことがないから。

 独りには慣れている。何時ものことだ。

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