モザイクな彼女に僕は恋をする

赤坂知葉也

第礼ワ 僕の恋の始まり

この世界には解き明かされていない謎がたくさんある。

イースター島のモアイ像、天空の遺跡マチュピチュ、ナスカの地上絵など、様々な謎がこの世界にはある。

僕自身そういったオカルトに興味があるわけではない。

テレビで放送されているUMAやUFOの発見情報番組などすぐにチャンネルを変えてしまうくらいだ。

だが、そんな僕にも解き明かしたい謎がひとつだけある。

それは僕が通う高校『私立暁高校』2年、出席番号34番、同じクラスであり隣の席の東條菖蒲さんだ。

僕が彼女に対し何故そこまで興味があるのか、それは文面だけでは誰もわからないだろう。

簡単に説明すれば彼女自身ではなく、彼女の『一部』に僕は興味がある。

おっと、いかがわしい意味じゃないぜ?

読者もその辺りは理解してくれると助かる。

その一部はおっぱいでもなければお尻でもない。

そう、顔である。

顔に興味があるのは当たり前って?

まぁ確かに男女という異性に対して初対面で最初に見るところといえば顔だろう。

いや、おっぱいのやつもいるかもしれん。

だが、彼女の顔は少し『異常』なのだ。

ブサイクだとか、とびっきりの美少女とかそういう次元の話ではない。

初対面の人は皆驚くだろう。

なぜなら、彼女の顔にはモザイク処理がかけられているのだ。

よくNGの場面や、個人情報の保護時に使うモザイク処理。それが彼女の顔には常についているのだ。

僕自身はじめは何かの見間違いか、ドッキリかと思った。

しかし気づけばもう高校2年生。彼女の存在は学園中に広まっていた。

今だに彼女見たさで別のクラスや、他学年がうちのクラスに来るほどだ。

彼女を一目見てから変わった人はたくさんいる。

彼女を研究するためにオカルト研究部に入ったやつ。

彼女のモザイクの解像度を上げようとパソコンに没頭するやつ。

もちろん変わった人の中には僕も含まれている。

そう、僕自身も変わった。

彼女と会ってから僕は、佐藤杏一は初めて恋というものを知ったのだ。

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