ある晴れた日の遊び

 お入んなさい、と回るのは大縄跳びの縄だ。

 三人は、大縄跳びをするのが好きだった。放課後になると大縄跳びを持って広場に集まる。二人が大縄を回し、一人が跳ぶ。ある程度跳んだら一旦大縄を止めて地面に置き、素早く交代するのだ。

 今日も三人は広場で大縄跳びをしていた。

「そういえば、今日のテスト、空の青さを説明できなかったよ」

「またいつもの、ように、慌てすぎて、しまったの?」

「そうかもね、悪い癖、直しておきたいところだよ。次」

「今日の空、雲一つ無い、日中とても暑いよね」

「その通り、暑いのは困る、水分補給を忘れずに」

 跳ぶリズムに合わせて三人はお喋りをする。満足するころには夕方になっており、その頃には皆ほどよく疲れ、自然と解散になるという流れである。

「そういえば、友人が、大縄をしたいと言ってたよ」

「あら偶然、こちらもよ、大縄したいと言ってたな」

「二人だけじゃないよ、こっちもね、跳びたい友がいるんだな」

「それじゃあ」

 おーい、と三人が声を揃えて呼ぶ。すると、広場の端や木の陰、塀の横など様々な場所から人々がかけてきた。

 人々は、大縄跳びの周りに集合する。三人は大縄跳びを回したまま、人々に呼びかける。

「さあ並んで」

「お入んなさい」

「遠慮はなしよ、一、二、三、四、」

 人々は一人ずつ大縄に入り、一回跳んで出ていき、列に戻る。数回か回しているうちに、複数人で跳んだり複数回跳んだりという動きも追加されていった。


 日が暮れるころ、人々と三人は大縄跳びをおしまいにした。帰路につく三人を人々が見送る。

「案外、すぐ終わっちゃったね」

「そうだね」

「あんまりみんなとお喋りできなかったね」

「残念」

「それじゃあ」

「また明日ね」

 三人は三方向に分かれ、手を振った。去ってゆく三人。

 人々は三人のいなくなった広場に佇んでいる。夕方の風が広場を撫で、砂を巻き上げた。

 砂が晴れたとき、広場にはもう誰もいなかった。

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