ゴブリンキングの帰還

玉吉

第1話 ゴブリンキングの帰還

この世界が、魔神達に支配されてしまってから何年たったのだろうか?私、メアリー・ソリッタは考える・・・・


世界を支配した彼らは、自らの楽しみのために生命力を搾取するためのエリアを自分の領地内に造ったそのエリア内の生命は奪われ・・・彼らの楽しみである・・・赤ワインのような赤い液体になる。


そのエリアは、赤い巨大な鳥かごのようなもの・・・・


フレイバーを付け加えるためなのか?時々生命力の強いモンスターや種族をオリや鏡に閉じ込めてそのエリアに置くようだ・・・・

オリに入れられたものは、割と急速に・・・・鏡に入れられたものは割りと緩やかに・・・・・・生命力が奪われる・・・・


生命力が奪われたものは・・・消滅する・・・・全て奪いつくされると認識してほしい・・・・死体すら残らないのだ


何匹かのオリや鏡に閉じ込められたもの達を観察した結果の答えなので間違えない。


もちろん助けに行くわけには行かない・・・エリアに入ればもれなく私の存在も搾取されてしまうから・・・・


それでも、何か出来ないか?もしくは、中にいる者達の気持ちとか状況とか何か分かればと・・・・とにかく、助ければ何かしらの情報が得られるのじゃないかと・・・・


装備として持った宝珠・・・・封印の宝珠・・・・封じたいものを引き寄せ閉じ込めるが、自由に出すことも出来る便利アイテムだが、子猫が入るかはいらないかなので・・・・


よく見かける生命力のありそうなドラゴンやら巨人の類は入らない・・・・・


魔神達のこのエリアの研究は、それほどの研究も出来ずに終わりそうだ・・・・今日も、これで終わりかなぁ~と・・・・


だが、今日は違ったようだ・・・・


オリに閉じ込められた黒いもやの中、二つの光る何か?目なのか・・・そして、目?が会った

『オイ、助けてくれ』そのもやは言った


私は物凄く興味を持った・・・・魂だけの存在?肉体を失って、まだ語りかけてくる?いや、生命力を失えば存在を維持できなくて肉体も精神も消滅・・・・のはず・・・・


『え~と?体なくなってますよね?何で話せるんです?』


黒いもやは、なぜか自慢げに・・・・『知らん』


『知らないが、わしぐらい偉大だと・・・存在感ってやつだろうか消えることを許さんのだろうなぁ~』

などと言った



『で、あなたは何だったんです?』


黒いもやが胸を張ったように見えた・・・まさか?

『ゴブリンの王・・・ゴブリンキング様だぁ~』


私は、助けることにした・・・・ゴブリンの王かどうかはどうでも良い

とにかく、もやなら封印の宝珠に入れられるかも知れないからだ・・・危ない存在なら閉じ込めたまま出さなければいい


『助けてあげますね、この宝珠の中にあなたを取り込みます』

宝珠を発動させた


吸い込まれる黒いもや・・・

『感謝する、この恩は・・・・お前の強欲をかなえることで答えよう』


吸い込まれたもやは、その後、中が狭くて息が出来ないとか散々悪態をついていたがしばらくしたらおとなしくなった・・・・あきらめたのかな?

しかし、宝珠の中からでも語りかけてくるなんて・・・・


私に、旅の相方が出来たwうるさすぎるのが難点だが・・・・・


何日か経って・・・魔神の城が近いエリアに来たようだ・・・森が近くにある草原?村があったのだろうか?廃屋があちらこちらに煤けてるところがあるので火災か?


廃屋の一つに入って少し休む・・・・このところあまり休めなかったためか・・・・眠い・・・・



寝てしまったのだろうか?廃屋の外で何か声がする


『人間見たって本当か?』

『女だったよ』別の声

『じゃあ、捕まえて食べよう』


えっ最後の言葉がやばい・・・やばすぎるでしょ

心臓がドキドキしてるこれすら相手に聞こえてしまいそうだ、止まれ私の心臓・・・・いや、止まらなくていいから静かにして!!


私は、廃屋から逃げ出して森に逃げるため走った・・・見つからないようにとかではなくて速くそこから離れたかっただけだ・・・・


あっさりつかまったけど・・・・たべられちゃうよ~

捕まえた獲物を見る彼らは、緑色の体色のやせっぽちで人間の子供くらいの大きさの亜人

ゴブリンだ!なんで5匹もいるの~


3匹のゴブリンが廃屋の周りで私を探して、逃げ出した私を捕まえたのは残りの2匹・・・・・

いや、冷静に分析なんかしてる場合じゃない!!生命の危機なのだ!!!


『あーんなことや、こーんなことしてから。食べよう』


え?食べようの前が、物凄く気になります!!でも、やな予感しかしません!!!


じりじり追い詰められる私


もうだめ、あーんなことや、こーんなことしてから。食べられちゃう


『おい!こいつはダメだ!!!俺の恩人だ!!!』

宝珠が暴れだした!!びっくりする私やゴブリン達

宝珠が自分で飛び跳ねてゴブリン達を攻撃したのだ。

え~、封じられたら文字通りの封じられた状態のはずなので・・・・


少し落ち着いたのか宝珠を捕まえたゴブリン・・・・

 『ここからだせ~!』叫ぶ宝珠


笑いながら、宝珠を持ったゴブリンが短剣をもって私に近づいてくる・・・・終わりだ~私~あ~恋もしたかった~あんなこともこーんなことも・・・・


『だから出せと!』宝珠から声が

そうだ、だしてもこれ異常事態は変わらないはず・・・たぶん・・・・・だしちゃお・・・・封印をといた


封印をとかれた宝珠から・・・黒いもやが・・・・・


『その人間は、わしの恩人だ』


ゴブリン達は、ビックリしたようだが攻撃態勢は解いていない、むしろ武器をもやに当ててくるがもやはもやなので武器が当たらない・・・・


『わしは、ゴブリンキングだ!』


大声で笑い始めるゴブリン達


『ゴブリンキングはそんなんじゃない』×5


もやが赤くなった・・・・怒った?


『貴様ら!王の命令が聞けんのか!!万死に値する!!!!』


え?って顔をしたゴブリン達???でも、笑い顔は崩さない・・・・


次の瞬間手前にいたゴブリンが下半身を残してもやに食われた!!!

下半身も食われ・・・・その後は次々と・・・


いなくなった、ゴブリン達・・・・もやも消えていた・・・・いや、一匹の太った緑色の・・・・ゴブリンが残ってた

『おや?体が出来たw・・・・わしほど偉大だと、こういう奇跡も起きるのかw』


まさか?ゴブリンキング?


『そうだ!偉大なわしが・・・体を失い、魂も空になっても・・・・存在力だけで残っていられるとは・・・いや、無礼者を食っただけで、肉体を取り戻すなど・・・偉大すぎて笑ってしまうなw』


え~っと、ゴブリンキングはゴキブリ並みに生命力があってってことですか?と、聞いてみた。


『何、そんな黒い虫とわしが同じな分けなかろう』

そう言って、ゴブリンキングは森の中に走っていった


数刻後




両手に山を作り、口にもびっしり咥えられたゴキブリ・・・・私がそれを見て『き』で始まる叫び声を上げて一瞬気を失ったのは・・・


次、私が目をさますと・・・なぜか、魔神達の作った生命力搾取のエリアの近くにいた・・・・


ゴブリンキングを見てもう一度気絶しそうになるのをとどめながら・・・・まだ、ゴキブリ咥えてるし・・・その、両手に山盛りの・・・・


無造作に搾取エリアにゴキブリを放り込むゴブリンキング・・・・ゴキブリは入るそばからシュワ~っと、音を立てながら消えていった・・・・


『ほら、見ろ・・・わしの偉大さが分かっただろ?』


でも、ほら・・しぶといからネ・・・・・エリア内にかさかさとか足音が聞こえたりとか・・・・

もちろん聞こえませんでした・・・いや、聞きたくなかっただけかもしれませんが・・・・・・



さて、どうしたものか?

ゴブリンキングは考えていた・・・・


この姿を得たのは良いが、この姿は元の姿ではない。

今の姿はどう見ても、ふとっちょのゴブリン・・・・いや、貫禄ある偉大なゴブリン!だな!!

だが・・・・ゴブリンはゴブリンだ・・・


『ゴブリンキングって小さいんですね?たしか、ゴブリンの上位種ってホブゴブリンっていうんですよね?それより小さいですよね・・・・』


ゴブリンは背丈が大きくても1メーテぐらい、ホブゴブリンは2メーテぐらい

武器なんかも違ってて、大概拾って装備してるみたいだけど・・・体の大きさの違いからか・・・ゴブリンは大きい武器はもてない・・・ホブゴブリンは、大体大柄な人間が扱う装備なら何でも扱う・・・・なかには全身鎧を着ているやつもいるとか・・・・戦闘能力だけなら人間などより上だったり・・・・冒険者達もゴブリンは割とくみしやすい相手・・・ホブゴブリンは、かなりの熟練者なら・・・・・だったり


『うむ、ゴブリンキングはホブゴブリンよりいくつか上の上位種だ』


ゴブリンの中から時々ホブゴブリンに昇華するものが現れて・・・・さらに、上には・・・・

だが、補足するなら・・・ホブゴブリンは子供を作ることが出来る、もちろん生まれるのはホブゴブリン


『まぁ、わしの武器を取り戻せばなんとかなるかもしれない』


どこにあるんです?っと、私が聞くと


『わしの城、ゴブリン城にある』


行き先が決まった私達は、ゴブリン城に向かうのでありました。



数日後



『わ、わしの城が・・・・・』


私の目の前にあるのは、白亜の城・・・・形も洗練されて綺麗なお城なんですけど?


『わしの城が・・・・こんなに不恰好で気持ちの悪い色に・・・・許せん!!』


ほかのお城なのでは?つまり、おうちを間違えたとか???


『ぬぅううううううううう!!許せん!!許せんぞ!!』

と叫びつつゴブリンキングは城門を突き破り中に・・・・


私は、家宅侵入になりませんように~と、祈りながら後についていく。


内部の、構造はあまり変わらないのか?宝物庫に・・・・宝物この扉に、ゴブリンキングが話しかけると、なぜか扉が勝手に開く?不思議だ・・・まだ、この世には分からないことがあるんだなぁ~?


ゴブリンキングは宝物庫の中に入って、なにかを探している・・・・


そこに・・・・


『おや?宝物庫の扉が開いているぞ?』

『城門の扉が壊されたから何者かが攻めてきたかと城中探してたら・・・・宝物庫の扉が開いてるとは・・・』

『王はいない、魔神様に中のものを差し上げれば覚えもめでたくなるだろう』

『そうだな』

『でも、なぜ開いたんだ?』

『壊れたんだろ?』

『魔法の扉だぞ?』

『魔法だって壊れるんだろ?わからんが』


宝物庫の壁に隠れながら、話してる相手を私は覗いてみた・・・ゴブリンじゃない!私より大きい

ホブゴブリンだ!!

ゴブリンキングは、何かを探すのに忙しいらしくて気がついていない。


あぁ、来た私は宝箱の後ろに隠れた・・・逃げて、ゴブリンキング




ゴブリンキングは、宝物の山の中から王冠を探していた・・・・むむ?多すぎて見つからん!

そうこういってるうちに、宝物庫の扉の向こうが騒がしく?ん?

『おい!おまえ誰だ!!』

『どっからはいった?』

などと声が聞こえるが?わしの城のなかで、わしが探し物をしているわけだから・・・お前らこそ誰だってわけで無視!


『おい!』むんずっと、ゴブリンキングの頬肉をほぼ脂肪だが・・・つかんだ、ホブゴブリン・・・強引に振り向かせたついでに持ち上げる


ふぁしは、ほぶりんきんふら


むむ?つかまれてるとこがつかまれてるとこだから、ちゃんとしゃべれんではないか?


床に放り投げられた


『なんだって?』再度たずねられた?ホブゴブリンにわしの気品漂う、言葉が通じんかったか?


『わしは、ゴブリンキングだ!』

急に、ホブゴブリンたちの顔色?が変わったと思ったら・・・いきなり、ぼこられた!

なお、わしは・・・そのなかの一人に思いっきりよく蹴り飛ばされ・・・・宝の山に当たりバウンドし~宝物庫の奥に・・・・



『ふざけるな!!お前のような見たこともないほど太ったゴブリンが王などではないわ!!!』



バウンドしつつ・・・・わしは・・・お?あれは?あれはわしの!!!


バウンドしているゴブリンキングをホブゴブリンたちは追いかけ追加の攻撃をかける


ぬぬ~結構痛い・・・あちこちすりむいて血が出ている、だが!!肉ガードは伊達じゃない!!!(あ~言ってって恥ずかしくないのか?)高貴なわしの肉ガード!!


転がったわしは、部屋奥に

転がっていた・・・巨大で、ぶあつい鉄板のまえに・・・巨人が扱うような、それでもでか過ぎの中華包丁のようなそれのまえに


わしを取り囲むホブゴブリンたち・・・・もはや交渉決裂!殺気まで放っておるわ


わしは・・・鉄板に語りかけた


『のぅ。ぶっかき丸?悪いがこの体に合わせてもらえんじゃろか?』


ぶあつい鉄板は、まばゆい光を発しながら・・・わしにも持てるぐらいの大きさの包丁?になった・・・一応剣らしい・・・なぜならぶっかき丸は、わしの剣だからだ


本当は・・・・包丁って思ったら、ちょっと柄のほうに刃がついて・・・手が切れたから高貴なわしは怒っておるのかと思っただけだ



それを見て、ホブゴブリンたちは驚いた


『まさか、あの剣をここまで御するなんて・・・・』

『まさか!!!』

『本当に、ゴブリンキング??』


わしは、ちょっと怒っていたの・・・もちろん寛大なわしは・・・


『手加減してやる!一回ぶっとんでおけ!!』

と、ぶっかき丸を軽く振るった・・・・


ホブゴブリンたちは、軽く吹き飛び・・・宝物庫の床石を砕き~頭からめりこみ・・・足をヒクヒクさせていた・・・


ふむ、ヒクヒクがシンクロしておる・・・なかなか面白いななどと思ってるうちに


メアリーが宝箱の影から出てきた・・・ふむ、わしがひどい目にあってる間・・・あんなとこで、ほっておいたな・・・・いや、違うぞ!わし!!全幅の信頼を置いてわしにまかしたと考えるのだ、うんそうだ!!

メアリーは、床に逆さに突き刺さってヒクヒクしているホブゴブリンがかなり珍しいのか?観察している・・・その間に、わしは探し物を・・・おぉ、あった。わしの王冠・・・・う~む、今のわしには、タスキのようになってしまう・・・・まあ、他の者にかぶられるよりましだ!!


さて、武器も手に入ったことだし・・・


『おい!死んだふりはやめて・・・さっさと、魔神のところにあないせい!!』


いっせいに起き上がった、ホブゴブリンたち・・・やはりな


『ゴブリンキング様ひとつだけ聞いていいですか?』

『ん?なんじゃ?』

『その人間の女は?』と聞かれた


『それは、わしの      』


         非常食

         奴隷

         愛人


などと、このバカどもが言うので・・・・冷静にそうだわしは冷静に

『恩人だ!』

と、もう一回ぶっかき丸をつかった


同じように逆さに床に突き刺さるホブゴブリンたち



『死んだふりはやめろと言っておるじゃろう?』

いや今度は、死んだか?


生きてるようだが、満足に動けない者が多かったが・・・・その中でましなのに案内させることになった・・・・


ふふふ、わしの城をこんなに趣味の悪いものにした魔神め・・・わしの生命力を奪ったことも腹が立つが・・・・しかし、この城の中・・・兵も使用人もいないな・・・いないわけではないか?ホブゴブリンがいたからのぅ?不思議だ???


『ゴブリンキング様、この扉の向こうにございます・・・私はここまででいいでしょうか???これより先に行くと殺されちまいますので・・・・』


『ふむ、仕方ない・・・巻き込まれんうちにどっかいってろ』


そそくさと、ホブゴブリンは去っていった


さぁ~って、行くか




扉の向こうは、白い壁の大きな部屋・・・真ん中に白い台座・・・とても高い白い台座(周りが白すぎて目が痛い)・・・10メーテぐらいの高さかな?がある。その台座の上の玉座には・・・黒い服を着て赤いワインのようなものが入った水差し・・・・そして、ワイングラスをゆっくりと傾ける人が・・・あれが??魔神???


ゴブリンキングは、魔神を睨み付けて

『こんな趣味の悪い城にしおって・・・』


『ふむ、きたないゴブリンふぜいが何のようだ?。』


『わしは、ゴブリンキングだ!!』


それを聞いた魔神がさも愉快というように笑い出した・・・・

『なるほど・・・私に、この赤い液体の提供し・・・その残りがその姿というわけか・・・・そんな姿で、私に何ができるというのかね?無駄だ!!!』

無数の魔法の束が、ゴブリンキングに・・・・

ゴブリンキングは剣で・・・身をひねり・・・魔法の一打一打を避ける・・・・7発ほど避けたところで連続で残りが当たってしまう・・・・皮膚や肉が裂け血しぶきが飛ぶ・・・・


『むぅ』ゴブリンキングは、まだ立っている


『ふむ、ただのゴブリン風情とはいかんようだな・・・ゴブリンなら、魔法の一撃で終わっていただろう・・・さすがはゴブリンキングというところか・・・』言い終わると同時に『ふ』から始まる笑いをあげる魔神


無数の魔法の群れが獲物を狙う狼のような光を発しゴブリンキングに襲い掛かる


ゴブリンキングは、魔法を受けながら前に進む・・・・



繰り返されるそれに、私の感覚は麻痺していた・・・



『つまらんな』魔神は光の槍をゴブリンキングに投げつけた、ゴブリンキングは白い壁に打ち付けられ光の矢は壁に縫い付けた・・・・いまだに左肩うなりを上げる・・・光の矢を、ゴブリンキングは見ていた・・・そして壁から身を引き剥がし・・・魔神に向かっての歩を進める


『骨折れ身も崩れ・・・血を失い・・・まだ向かってくるか?』



『どうだ?私の眷属にならんかね??そうすれば、再びゴブリンキングを名乗ることを認めてやるぞ、ここではないがほかの場所に城を作ってやってもいい』


『ふざけるな!!こここそ、わしの城だ!!』ゴブリンキングは、ふらつきながらも・・・まだ歩みを止めない・・・


もう無理、力なの差は明らかだ・・・だけど私は、ゴブリンキングをとめる言葉がない・・・


『残念だ!!』ひときわ大きな魔法の力がゴブリンキングに


壁をへこませ白いかけらを撒き散らし・・・散らされた床を壁を赤に染め・・・・ゴブリンキングがたたきつけられていた・・・・


ゴブリンキングは、うつろな目を魔神に向けたまま動かない・・・・


『さぁ、終わったようだ。もう一人の侵入者・・・そうお前だ!』

そう言って、私に向かって手のひらをかざす・・・・そして、何かを握るしぐさをすると・・・首が私の首が何かに絞められて・・・苦しい・・・・私は、なぜか・・・自分の死より・・・ゴブリンキングのことを考えていた・・・・私じゃ魔神になんか勝てないからだ・・・でも、意識が・・・そして、最後の呼吸で・・・『キング逃げて』・・・だが、キングで息が切れた・・・もうだめ・・・・・・もう勝てないのかな???勝ってゴブリンキング・・・・


ゴブリンキングは・・・散っていた意識の中で・・・・首を絞められもがくメアリーを見ていた・・・最後に・・・その口が『勝って』と動くのを・・・・



『勝てだと!!この状態を見てまだ言うのか・・・その強欲・・・・叶えてやろう』

何かが、自分の中で変わった・・・・自分の中から吹き上げてくるものを感じる・・・・メアリーが床に倒れた動かないが息ができているようだ気を失っただけですんだか・・・魔神が離したのだな・・・よかった


よろける体で、台座に向かう・・・・魔神は、冷静に一発、二発・・・無数の魔法とぶつけてきた・・・痛みなんか神経がもう逝ってて感じないわい


黒い瘴気を口からは吐き始めてる・・・薄く全身からもそれが出ている


『その、王冠のような胸当てが・・・魔法の効きを下げてるのか?面白いお前を殺したら後で確かめるとするか』


わしは最後の力を振り絞って台座に向かって走る、鮮血の帯とそれにまとわりつく黒い瘴気をたなびかせながら・・・・


台座の下に着き渾身の一撃を当てる・・・


『そんな攻撃で壊せるものか』わで始まる声で笑う魔神



『ぶっかき丸はな、切れ味は最低だが・・・破壊力は最高なんだ』


その言葉と同時に台座に入るひび・・・亀裂・・・崩壊・・・・台座は砕けた

投げ出されるように、魔神はなるが・・・ゆっくりと床に降り立つ・・・


だが、ゴブリンキングに赤い液体の入った水差しが中身をぶちまけながら砕け当たった・・・

盛大な音をたてながら傷が骨が治っていく・・・・

愉悦の声か悲鳴なのか叫び声が漏れる・・・・

高揚感もすさまじい


一瞬で、視界が変わる・・・自分の大きさが変わった感覚・・・・力が・・・力がみなぎる


途切れなく打ち込まれる魔法の束・・・・だが、再生のほうが早い・・・・


黒く巨大で無数の傷跡のある王冠をかぶり、巨大で分厚い鉄板のような武器刃の部分に4本の犬歯のようなものが生えているだけの剣とよんでいいかすらわからない武器を持った怪物がそこにはあった・・・

武器を持たぬ左手で、魔神をつかみ口に放り込み咀嚼・・・悲鳴も聞こえなかった・・・・



私が目を覚ましたときには、巨大で王冠をかぶった怪物が・・・魔神を口に放り込むところだった・・・終わった・・・・??

でも、台座のあったところに目を離さない怪物・・・・王冠はゴブリンキングが持ってたやつ・・・まさか、本当の姿?


『残念だな、ゴブリンキング・・・私はこの世界に介入してるに過ぎない・・・私自体は別の世界にいるのだよ・・・この姿も私の一部にすぎないのだよ』突然中に浮かんだ状態で現れる魔神



『ぐるるるるるる~』うなり声とともに右手の武器を振るうゴブリンキング・・・


無数の魔法で武器も本体も削り飛ばすかのような魔法を打ち込んでくる魔神・・・・


武器は当たった、魔神の動きが止まった・・・・


『ふ、何度も言うが私の本体は別の世界にいるのだ・・・だから・・・・』血を吹き崩れ折れる魔神・・・・何が起きたか理解できないように・・・・


『わしももう一回言ってやる!ぶっかき丸は・・・・』


切れ味は最低だが、破壊力は最高だ!!




あらぬ方向の空間から断末魔の悲鳴が上がる!!空間が避ける!!ありとあらゆる色の液体が空間にうがたれた亀裂から噴出す!


『なぜだ、なぜこちらまで・・・・ぐふ』


城が歪み・・・黒くて趣味の悪い部屋に戻った・・・本来の王の間なのだろう



ゴブリンキングはバルコニーに向かった・・・・王として命令する場・・・・

長い戦いの後、真夜中・・・星しか出ていない・・・・外を見ても真っ暗で何も見えない

獣の声もしない静寂の世界


『ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~!!!!!!』ゴブリンキングは、吼えた!!!



しばらくして、四方八方からその声に応じるように


『おぉぉぉぉ~』『がぉぉぉ~』と声が聞こえた・・・・その声は明け方まで続いた・・・・




そして、次の日


この世界すべてのゴブリン族(ホブゴブリンやそれ以外も含めて)は、魔神たちとの戦闘を開始した!!


朝・・・


『ちっちゃくなってる~!!』メアリーに驚かれ・・・

『みどりまんじゅうーに、戻ってるじゃないですか?』

『知らん、起きたら小さくなってた・・・・元にも戻ったと思ったのに・・・・』

元の大きさに戻ってしまったわし達は、魔神たちを倒しに旅に出るのであった・・・・もちろん、この城に残っていた赤い液体を持って・・・・

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