地球上から主観的に考える宇宙の構造・地動説
宇宙は思ってたよりも広そうだ。
となると、空の天体配置モデルに修正を加える必要がある。
根本から宇宙の構造を見直そう、って話だ。
そこで、さらに夜空を注意深く観察してみる。
東から西へと一様にめぐる星々の中で、惑うようにうろちょろと動く数個の「惑星」にヒントがあるはずだ。
水星と金星、と呼ばれる星が、太陽の周囲を回っていることはよくわかる。
現在の太陽系モデルを知ってるぼくらからすれば当然のことなんだが、この二つの星は、地球よりも太陽に近いところを回ってるんで、その周回が観測しやすいんだ。
ところが、火星や木星の運動の解釈はむずかしい。
なにしろ、地球よりも離れたところを周回するこれらの星々は、きみが南にのぼった太陽を正面に見るとして、太陽の裏側をぐるっと巡った後、さらに地球の背面にまで回り込む軌道を取ってるんで、これまでの天体運行モデルを完全に捨てて思考を跳躍させないと、その動きの意味がわからないんだ。
しかし、今や人類は知り得た!
惑星たちが太陽の周りを回っていることを。
もはや地球が、宇宙の中心ではないことを。
ここで、さらなる思考の跳躍が起こる。
つまり、「いっそ、この地球も太陽のまわりを回ってるのでは?」という、驚天動地の考え方だ。
ところが、これがしっくりとくる。
この大地がそっくりそのまま、あの太陽を中心に周回してると仮定すれば、これまでのモデルで問題となってた惑星の運行の矛盾点すべてに説明がつく。
地球は転がるように回ってる。
これは、全天の風景がいっせいに上空を巡ることから見ても明らかだ。
しかし、その地球は、他の惑星とともに、太陽の周りを周回してる。
ヒトビトが見上げる夜空の光景が一変した瞬間だ。
このコペルニクス的転換によって、人類は外からの視線で「真の」自分たちを見ることができるようになった。
宇宙における大空間の中の自分たちの立ち位置。
それは、多くの天体の中の、いっこ。
たくさんある中の、たまたまぼくらが住んでるこの星。
ちっぽけなちっぽけなそこに自分を置くことで、ジンルイは巨大な視野を手に入れたんだった。
つづく
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