ある日目覚めたら人形に宿っていて、しかも龍から息子になれって言われたんだけど(仮)

にゃべ♪

三人称バージョン

第1話 昼寝をしようとしただけなのに

 約一年前、前触れもなく突然人が死ぬと言う現象が発生し始めた。この異常事態に対し、すぐに国際的な調査・研究が始められたものの、世界中の優秀な頭脳を集結してもまだ原因は何も分からないまま。


 この謎の突然死は平均3日に1回のペースで起こり続けていく。この謎の病気は世界各地で発生していて、老若男女問わず、持病の有無を問わず、発生地域の極端な偏りもなく、全く発生の条件が分からない。

 中には死亡直前に謎の発光現象が認められたと言う話もあったものの、そう言う不確かな話題は単なる都市伝説として片付けられていた。



「本当に怖いよな、謎の突然死」

「とりあえずまだ地元でそう言う話を聞かないからいいけど」

「バカ、今まで起こってないって事はこれから起こるかも知れないじゃんか」


 ひびき 龍輝りゅうきは友達と雑談しながら登校していた。ありたきりな朝、中学からの腐れ縁の友達。何もかもが普通。突然死の事も全国のニュースにはなっても、地元でその手の話が全く出なかった事もあって、どこか他人事のような気配すらあった。

 当たり前に授業を受けて、当たり前に友達との無駄話に花を咲かす日々。ごく普通の高校一年生の龍輝にとっての日常はどこまでも気楽なものだった。


 日々の話題の中心も昨日見たTV番組の話とかがメインで、時事問題とかのニュースは誰も口にしない。そんな事を話しても面白くないからだ。謎の突然死も自分達の中で身近でないだけに、自分がそうなったらどうしようと真剣に考えるクラスメイトは1人もいなかった。

 そう言う気が滅入る話よりも、お笑いの話でふざける方が楽しくて盛り上がる。それは突然死がどこまでも他人事だからなのだろう。


 昼休み、龍輝は弁当を食べた後、賑やかな教室を離れて屋上へと向かう。鍵が開いているかは博打だったものの、奇跡的に施錠はされていなかった。

 誰もいない屋上の真ん中で彼は寝っ転がる。そうしてそのままゆっくりとまぶたを閉じた。この屋上での昼寝が最近の彼のルーティーンとなっていたのだ。


 最近ネットゲームにハマっていた龍輝は、毎晩夜更かしをしているため、こうやって昼に不足した分の睡眠をとってバランスを取っている。

 今回もそんな感じで睡眠に入りかけたその時だった。急に謎の振動を感じた彼は不安を感じて勢い良く起き上がる。周りを見渡すと、自分の周囲2メートルくらいがまるでスポットライトを浴びたみたいに不思議な光に包まれていた。


 焦って床を見ると、そこにはゲームやアニメなんかでよく見るような魔法陣が浮かび上がっている。

 これはヤバいと直感が頭の中で警戒警報を発令したところで、体に力が入らなくなり、周りの景色が真っ暗になってしまった。


 直後に龍輝は意識を失い、バタリとその場に倒れてしまう。こうして謎の突然死、地元第一号は彼になってしまったのだった……。

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