荒廃した世界で何を思ふ?
@kurogasaki0313
第1話 人外という化け物
北に向かって2日ほど歩いただろうか。
闇市場で仕入れた食料も底をつきそうだ。
しばらく休めていないからか頭が少し痛む。
ズキズキと痛む頭を片手で抑えながら、俺は歩みを止めなかった。
土煙が吹く荒れ果てたゴーストタウンを進んでいく。
木は枯れ果て雑草すら生えてない。
元は大きな建物だったのだろうが、今ではただの瓦礫の山だ。
ゴーストタウンを抜けた所に建物が見えた。
双眼鏡を取り出して見てみると、村があった。
大きなゲートが特徴的な村だ。
もうすぐ日が沈む…早く村に行かねば。
食料と休める場所が欲しい。
馬小屋でも風車小屋でもどこでもいい。
どうか、この村が俺を泊まらせてくれるといいのだが……。
そんな淡い希望を抱きながらゲートの上にいた男に声をかける。
「すまないが、一晩だけこの村で泊まらせて頂けないだろうか」
「ん? お兄さんもしかして、アレ? アレだと村の皆が冷たいよ?」
「……」
「まぁ、僕は気にしないけど」
門番はそう言うとゲートを開けた。
ゆっくりと村の中に入る。
何処と無く村の建物は新しさを感じる。
まるで最近建てられたかのように…。
街の広場らしき場所に近づくと多くの人間がいた。
「おい!! 人外だ!!!」
「人外!! ……なんて気持ち悪いのかしら」
「人外!? お母さん、私見てみたい!」
「ポピー!! やめなさい!!」
「化け物め! さっさとこの村から出て行かんか!!」
「悪いな人外。この村は人間様以外お断りなのさ」
「人外がこの村にいるなんて……鳥肌がたつわ!!」
「あぁ、なんておぞましい見た目なのでしょうか!!」
「この村はもうおしまいだぁ……」
「お前なんか敵のバクダンに当たって死んじゃえ!」
「さっさと出ていかないと殺すぞ!!」
「やーい! 人外め! これをくらえ!!」
沢山の罵倒を受けた後、小さな子供に石を投げつけられた。
やっぱりそうだ。
俺が人外というだけで差別される。
俺が何かしたのか?
人外が何をしたのだ?
誰がこんなクソッタレた世界にしたのか?
戦争のせい?
人外のせいなのか?
嫌、違う、否。
「全部悪いのは……」
そう呟いて村をあとにした。
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