浜田の少女 6

「黒住君だね。まあ上がりなさい」


僕は茶の間へ通された。


しばらくすると、さっきの少女がお茶とお菓子を運んで来た。


「幸治は友達と一緒に、学校へ行っておる。もうすぐ帰って来るじゃろ」


沖本の母が、買い物かごをさげて帰ってきた。


「きのう来られるとばかり思っていたんですよ」


「ええ。僕もそのつもりだったんですが、九州で一日手間取って、遅れたんです」


「そうでしたの。きのう、うちの町内で祭があったんですよ。きのう来られたら見られたのに残念ですねえ」


話しているうちに、沖本が帰って来た。


「やあ、よく来たね」


彼は日焼けした顔をほころばせて、手を差し出した。

僕達は握手した。


「九州はどうだった?」


「うん。まあまあだね」


「松尾に会ったのかい?」


「うん。会った。彼女元気そうだったよ」


玄関を開けて、彼の二人の妹が帰って来た。

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