亡くなっても、無くならない

勝利だギューちゃん

第1話

誰に怒っていいのか、誰を恨んだらいいのか、

わからない。


俺の、愛した者は、もう亡くなった・・・


「亡くなったけど、無くなってないよ」

「えっ?」

「その人は、いつでも君のそばにいる」

「俺の?」

「君が会いたいと思えば、いつでも会えるから・・・」


人は2度死ぬと言う。

一つは文字通りの意味で、もう一回は、人々の記憶から消える時。

つまり、記憶が消えない限りは、死ぬことはないのだ。


俺の愛した者は、遠くへ行ってしまった。

もう、手の届かない。


そばにいるとは言っても、見えなければ意味がない。


「ねえ、私じゃだめかな?」

「えっ?」

「私じゃ、その人の変わりになれない?」


それは愛した者だけでなく、君に対しても失礼だ。

なので、受け入れる事は出来ない。


「でも、いつまでもしがみついていては、前に進めないよ」

「どういうこと?」

「君の愛した者は、もう過去しかない。でも、君にはまだ、未来がある」

「いつまで?」

「私からは言えない。でも、自分からは終止符を打たないで」


もし、神様がいるのならいいたい。

「返せ」とはいわない。


せめて、少しでいい。

修正させてくれ・・・


「それは無理だよ」

「どうして?」

「だって、それを叶えてしまえば、また同じ事を繰り返す。

修正が出来ないから、人間は成長出来るんだよ」


手を差し出される。


「つかまって」

「えっ?」

「私には、何も出来ない。でも、君の支えにはなれる」

「うん・・・」


その手を握った。


「今こそ経ちあがって、君はそんなものじゃないはずだよ」

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亡くなっても、無くならない 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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