神様との出会い

勝利だギューちゃん

第1話

僕には日課がある。

休みの日は、お弁当を作り、近くの山を登る。


山と言っても、300メートル程なので、それほど苦にならない。


そこで、景色を眺めながら、お弁当を食べる。

これが、格別だ。


自慢ではないが、女子力は高いと思う。

そこらの女子よりも、僕のほうが料理は上手いと思う。


お店で出せるほどではないが、家庭で出す分には申し分がないだろう。


「さてと、食べるかな」

おむすびを取り出す。


「いただきます」

ほおばる。

うん、美味い。


「そんなに美味いか?」

「うん、とても・・・」

「わらわにも、食べさせてたも」

「どうぞ」

おむすびを渡す。


「うん、なかなかの美味じゃ。そなたが作ったのか?」

「うん」

「よい、婿になるぞよ」

「そりゃどうも・・・って・・」

横を見る。


そこには、見るからに姫君といった格好の、女の子がいた。


「うわー、いつの間に?ていうか、あなたは、だれですか?」

「今頃気がついたのか?鈍いのう」

「・・・って、結局あなたは?」

「わらわか?わらわは、神様じゃ」

「ウソでしょ?」

「神様は嘘はつかん」

神となのる女の子を見る。


どう見ても、神様には見えない。


「失礼じゃぞ」

「すいません」

一応謝っておく。


「すいませんではない。ごめんなさいといえ。日本語を勉強しろ」

あなたが、言いますか?


「で、どうしてここに?」

神様は、何かを思い出したようだ。


「おお、そうじゃった。実はの・・・」

「はい」

「そなたの願いを叶えに来たのじゃ」

「僕の願いですか?」

神様は頷く。


「そなた、かわいいお嫁さんが欲しいと願ったじゃろ」

「いつの話ですか?」

「人間というのは、忘れっぽいの、そなたが5歳のころじゃ」

普通、覚えていません。


「で、その願いを、叶えに来たのじゃ」

「で、そのお嫁さんとはどこに?」

「そなたの目の前にいるじゃろ?」

神様は、笑って答える。


「まさか?」

「そうじゃ、よろしく頼むぞよ」


確かに願ったかもしれない。

でも、かわいいが抜けている。


「何か、申したか?」

「いえ、何も・・・、でも、神様と結婚出来るんですか?」

「神様に、不可能はない。でも、このままでは、あれじゃ・・・明日まで待て」

「へい」

「へい?」

「はい」

「よかろう。では、明日の」

去って行った・・・


何なんだ?

ドッキリか?


まあいいや。

続きを食べよう。


至福のひとときだ。


次の日


ピンポーン


家のインターホンが鳴った。


「はーい。どちらさまですか?」

「私よ」

「私?」

覚えがないが、ドアを開けてみた。


これが、失敗だった。


「あっ、あなたは昨日の神様?」

「うん、一日ぶりだね。」

「でも、その格好は?」

「今の時代の、女の子を勉強してきたんだ。どう?」

「いや、かわいいけど・・・」

神様は微笑む。


「これなら、あなたの願い、叶ったでしょ?」

「ええ」

さらに微笑む神様。


「私は今日から、あなたのお嫁さんの、琴美です。よろしくね・・・」

「ああ、僕は・・・」


傍から見て不幸でも、当人たちには、幸せな事もある。

僕は、この境遇を不幸とは思わなかった。


「あなたが、死ぬ時は、私が責任もって、導くから、よろしくね」

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神様との出会い 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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