鰯の話
森 真尋
あなたは毎日イワシを食べている
あなたは、毎日、イワシを食べている。
イワシ類が、あなたの食生活に欠かせないという事実を、あなたは知っているだろうか。
あなたは、毎日、イワシを食べている。
今日の朝、シラスの和えられた納豆を白飯と一緒に食べた。お供の味噌汁は、煮干しの出汁が効いていた。
昨日の昼、パンにオイルサーディンを挟んで食べた。夕、焼き魚を食べた。もちろんイワシだった。
一昨日も、献立は忘れたけれど、イワシの料理を食べた。
明日も、イワシを料理して食べる。
あなたがそういう食生活を送っているとは思わない。
しかし、あなたは、毎日、イワシを食べている。
養殖魚としてのブリやタイは、イワシを食べて成長する。あなたはブリやタイを食べたとき、同時にイワシも食べたことになる。
鰹節にもなるカツオを釣る餌としても、イワシは利用される。あなたはカツオやその加工食品を食べたとき、同時にイワシも食べたことになる。
イワシは魚粉に加工され、畜産にも貢献する。これは豚や鶏の配合飼料となる。あなたは豚肉や鶏肉、鶏卵を食べたとき、同時にイワシも食べたことになる。
他にも、様々な食品の生産にあたり、イワシは使われる。あなたは、自身がイワシだと認識したうえで食べているより、はるかに多くの量のイワシを食べている。
あなたは、毎日、イワシを食べている。
これから、イワシを愛する私が、日本のイワシ大使である私が、あなたの食生活を根本から支えるイワシの偉大さについて、語りたいと思う。
その前に、私の自己紹介をしておこう。
私は岩下鈴子。ニックネームはベル子、
鰯の話 森 真尋 @Kya_Tree
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます