殺意
Akira@ショートショーター
殺意
我が国には殺意を検知する魔法が仕掛けられている
国内の誰かが殺意を感じれば、そこの位置へ警察がテレポートするというわけだ
警官は今日はエレベーター内にテレポートした
「どうされましたか」
警官は優しく尋ねる
「いえ、この男がエレベーターガールのつもりか知りませんが、ボタンの前に陣取り、決して他のものにボタンを押させないようにしているのです
しかも、押してほしいと頼んでもその階だけは押さない
それで頭にきたというわけです」
問題の男が言い返す
「毎日の仕事でストレスが溜まっているんだ
これぐらいのイタズラは許すのがまだ社会人となっていない君たちの責務だろう」
その時警官がもう一人テレポートしてきた
「やや、先輩、これはいったいどういうことですか」
「あのな」
遅れてきた後輩警官に事情を説明している間にも議論はヒートアップする
「なんだと俺がまだ社会人になってないように見えるのか
これでも26歳で、会社を経営している
お前のような社畜と一緒にするな」
またもや警官が増える
今度は男の上司が来た
「何事ですかな。説明してもらえますかA氏」
「それがですね」
もはや説明している暇などない
説明しようとすれば警官が増えるのだ
(いい加減にしてくれないか)
「あっ」
男が気付いたときにはもう遅かった
男はこの状態を生み出している二人に対して殺意を抱いてしまったのだ
「君なんてことをしている
警官である君が一般人の鏡にならなくてどうする」
「すいません」
またしても一人テレポートしてきた
説教でつい、殺意を抱いてしまったのだ
その時すぐ横で怒声が上がる
「おい、誰か足を踏んだだろ」
「これだけ狭いから仕方ないだろ」
またまたテレポート
狭いエレベーター内は人で溢れた
「おい、誰かこの状況をなんとかしろ」
「俺に向かって命令とはなんだ」
その時ビビビ!とエレベーターの警笛がなる
定員オーバーなのだ
スピーカーの近くにいた男がうなる
「うるさい。なんだこのスピーカーは
音量調節を間違っているに違いない
クレームを入れてやる」
そしてまた一人テレポートしてきて…
殺意 Akira@ショートショーター @akira_novelist
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます