第104話 比較対象が

 今日のバイトは比較的、時間があった。

 非常階段の掃除をすることになって掃除機を持って11階から階段を一段ずつ掃除していく、中々の重労働なのだ。

「うっ…またか…」

 非常階段は当然、鍵など掛っていない。

 つまり客も入れるわけだ。

 階段の真ん中に茶色い塊…「ウンコか…またウンコなのか」

 掃除機以外持ってきてねぇぞバカ野郎‼


 非常階段など普段は誰も使わない…

 虫の死骸やらホコリが溜まるのだ、ただでさえ汚ねぇのに…これ以上汚して欲しくない。


 近づくと…

「ん? ウンコじゃねぇな…なんだコレ…」


 鳥の死骸だ…雀?じゃないな…百舌だ。


 迷い込んで出られずに餓死したか…

 僕は死骸を指で摘まんで掃除を続けた。

「なんか…可哀想だが…感染症とか大丈夫かな?」


 3階ぶんくらいまで、片手でハンディ掃除機を使ったいたのだが…

「あっ…掃除機の中に捨てればよかったんだと気づく。

 パカッと開けて、半透明の容器に捨てる。

「可哀想だったね…」


 そして半透明のゴミ溜め容器の中でクルクルと回る百舌の死骸。


「なんか…シュールだな」


 ともあれ…ウンコじゃなくてよかった…百舌の死骸で良かった…のか?


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