インフェルノ・コード
結城陸空
Prologue 世界の変革
――2070年。
「それでは、議員半数以上の賛成によりこの法案を可決とします」
この日、世界は変わった。世界中の人間の半分が歓喜に叫び、そして半数の人間が悲しみに炙れた。
「事前の通告通り、施行は来月1日より行います」
その場にいる議員の半分は顔を抑えている。半分の議員は両手を上げて喜んでいる。
「ではこれによりロボット法を可決とし、ロボットに人権を与えます」
ロボット法……AIを搭載した人型ロボットに人間と同じ人権を与える法律である。これにより人間の道具としての存在であったロボットが人間と同じ立場に立つことになった。
そして世界は変わる。――5年後。
『本日のニュースです。ロボットが開発、運営しているウエザーオペレーションの予定ですが、本日から1週間は晴れの予定です』
世界には自由を認められたロボット達が闊歩している。もはやロボットは人間が使う道具ではなく、一個の生命体という定義である。
2045年にシンギュラリティにより起きた科学爆発は多くの科学を進歩させ人間の生活を豊かにした。天候操作もその一環である。
そしてその最たる例がAIを搭載した人型機械構造つまりロボットである。ロボットは人と同じように考え、働き、生活をしている。そしてそのほとんどが人間より優れており、人間よりも遥かに高い仕事効率を発揮していた。
『続いてのニュースです。ロボットによる森林復活計画により地球全体の15%の森林が復活を遂げました。これによりこの計画の立案、実行を行った第3世代型ロボットのブラニウム・セドン氏にノーベル平和賞が与えられることが決定しました』
搭載されたAIにより人間よりも遥かに優れた計算が可能であり、人類が達成し得なかった奉仕活動すらも行うことが出来た。これにより地球の環境は確実に向上しており、大多数の人間はロボット推進派となり、ロボットの貢献によりノーベル賞を与えることに賛成の者も多く存在した。
『続いてのニュースです。先日起きたテロにより人間を含む多数のロボットが破壊されました。実行犯であるトーマス・エーストは逃亡を続けておりましたが本日ロボット捜査官により身柄が確保されました』
推進派とは逆にロボット反対派も存在した。彼らはロボット法を認めずロボットに人権など無意味であり、あくまで人間の道具であるべきだと主張した。そしてそれを世間に認めさせるために、テロ攻撃という過激なやり方を行っているものもいる。
こうして世界は大きく変化し、人間とロボットの共存する世界が実現していた。
そして物語は一人の青年の日常から始まる――。
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