メガネの偏見

私はメガネをかけている

目が悪いからだ

雰囲気変わるね、頭良く見えるね、と

部員が言った


私はメガネをかけている

「私という人間から生まれた偏見を持ってこの世界を見ている」という意志表明のために


私はメガネをかけている

「なるべく偏見を持たないように行きたいけど、できない」ことを自分に理解させるために


かの国では自分の信念を体に刻むことがあるらしい

私は痛いのは嫌だ

それに気分屋だから、ずっとそこに居られるのは問題だ

いつだって好きな時に寄り添って

都合が悪ければ離れたい


世の中にはメガネをかけていない人もいる


「裸眼で見るから、自分の見たものが正義だと勘違いしてしまう。メガネをかければ、世の中すべてが偏見であふれていることが分かるのに。自分が正義ではないことは、メガネをかければわかるのに。たった一つの正義がないことは、メガネをかければわかるのに」


と、メガネをかけた私が言った。

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