化石

僅かに手に入れた安堵が

握り締めた指の隙間から

逃げていく


手の中に

もう安堵はないのに

恋しくて

まだここから動けない

満たされぬ安堵なのに

ここから動くことを

躊躇させる


一歩進んだら

刺されるんじゃないか

一歩進んだら

こけるんじゃないか

一歩進んだら、

そればかりで動かない化石


ここからみえる、あの丘は

どのくらい遠いんだろう

ここからみえる、あの湖は

どのくらい大きいんだろう


誰か私を

見つけてくれないかなぁ。

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