黎明
薄暗い部屋
もう朝だというのに
顔も見たくなくて
遮光カーテンはいつも
背中だけ焼いている
苔色の椅子の下
モノクロの外国人男性
著名なミュージシャンが
こちらを見ている
顔だけ、だ
生ぬるい床の上
ゴロンと落ちている
体はどこに忘れてきた
背景のパースが狂い始めて
私はブレる
体が、心が、脳が、ブレる
熱々のトーストの上
バターが溶けて
じゅわっとしみて、消えた
「おやすみなさい」
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