叔母さんが亡くなった


火葬後に骨を摘んで

骨壷に入れるあの儀式は

何かの拷問なのだろうか


骨を見ていたら

嫌な記憶に噎せた



祖父母の家で

叔父さんと父が喧嘩した

お互いいい歳して酔っ払って大げんか

家のガラスが割れたっけ


父が

「俺の嫁は馬の骨じゃねぇ」

と言った


私は子どもながらに

"馬の骨"が

侮辱する言葉だとわかった


私はお母さんが好きだった

子どもなりの正義感で

「もう二度と来るな」って

泣きながら叔父に怒鳴りつけた


叔母さんが申し訳なさそうな顔をして

従兄弟達が怒った顔をして

叔父さんを連れて車で帰って行った


翌週、電話で叔母さんに謝った

従兄弟にもよろしくと伝えた

でも私は叔父さんが許せなかった



大人になった今

こうやって叔父さんが喪主で

叔母さんのお葬式にきている


きっとあの時

父もロクでもないことを

叔父さんに言ったのだろう

あの父だ。

絶対に言ってるに違いない。


私は

今、誰も好きじゃないから

今、大人だから

あの時、分からなかったことが

よくわかるようになった



伯父さんとの再会がお葬式

叔母さんはもう死んでいる


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