血海の魔女 赤い世界で歪と踊り、殺す少女

血海の魔女

PART1

　最悪の魔女（ベアトリクス）。雷の魔女（アルテッサ）。希望の魔女（ミュール）。

　この世に魔女と呼ばれる存在は、先に挙げた者たち以外にも多く居る。

　そのいずれもが魔力と呼ばれる生命エネルギーを糧に超常を引き起こし、時に破壊を、そして救いをもたらした。

　しかし、同じく魔女と称されながらも、魔女とはまるで違う力を振るう者が居た。

　“血海の魔女”と呼ばれる、それは“魔”と契りし“女”。

　世界は裏返ることがある。世界には様々な面があり、通常人々が見ている世界とはそのほんの一面にしか過ぎない。

　そんな人々が見ることの出来ない、別の一面でその魔女は人知れず戦いを続けていた。

　己から全てを奪い。唯一残ったものまでをも奪おうとする存在、“歪（イビツ）”と呼ばれるものどもと。

　歪はやがて世界を裏返す。赤い世界が裏返った時、人は歪により殺される。

　それを止めるためにはただ一つ、赤い世界へと赴き、歪を殺すしかない。

　それを成すのが血海の魔女と呼ばれる、まだ少女の、“執行者”イサミの使命である。