第2話 順にとって、最も辛い出来事

順は、この幸せが、ずっと、いつまでも続くと思っていた・・・。しかし、ある日、順の母方の祖父が、急に体調を崩したのだった!?順は、まだ幼かったため、全然事の重大さに気付いていなかった。

順の母方の祖父は、喉頭癌になってしまっていたのだ!?それで入院して、手術されたので、彼は、しゃべれなくなっていた・・・・・・。

順は、母方の祖母に連れられて、母方の祖父の見舞いに行った。順が、彼を見ると、彼は、息絶え絶えになりながら、順の方に手を伸ばして、何かを言いたげであった。順は、それを見ても、何が何だかさっぱり分かっていなかった。

そして、19○△年、○月△日、順の母方の祖父は、命を落とした。まだ、61歳の若さであった。

彼は、曹洞宗の寺の和尚だったため、葬式は、盛大に行われた。さて、彼の妹は、自分の兄の死を悼んで、泣きじゃくっていた。ところが、順の方はというと・・・・・・?自分の祖父の遺体を見るなり、

『おじいちゃん、寝てる・・・。全然動かないや・・・・・・?』

と、思ったのだった!?何ということだろうか!?順は、自分の祖父が、

『ただ、寝てる』

としか思っていなかったのだ!!!つまり幼いためか、「死」を全く理解していなかったのだ。

しかし、彼の身体の傷を見た時は・・・・・・!?

『おじいちゃん・・・、身体が傷だらけ・・・・・・!?』

と、流石に、心に激しく衝撃を受けたようだ。それもそうだ・・・・・・、大好きな祖父の身体が傷だらけだったからだ・・・・・・。

そして、火葬の日、順の母方の祖母は、自分の夫の棺桶の中に、彼が大事に持っていた黒い鞄を入れた。その鞄には、そうめんの束を入れた、という。彼は、そうめんが大好物だったからだ。

そして、順の母方の祖父は、火葬されたのだが、彼が火葬されている間、順は、何を考えていたのかというと・・・・・・?

『ガイコツになったおじいちゃんを見るのこわーい・・・・・・!』

であった!?何ということであろうか!!?順は、

『おじいちゃんが亡くなって悲しい。』

ではなく、

『ガイコツになったおじいちゃんを見るのがこわい・・・・・・』

という考えしか頭になかったのだ。・・・幼いとは、、何て残酷なのだろうか・・・・・・!?

さて、かし終わって、彼は、バラバラの骨になっていた。順は、それを見ると・・・・・・?

『ガイコツじゃなくて・・・良かった・・・・・・!』

と、すごく不謹慎なことを考えていた。やはり、幼いとは、実に残酷である。

そして、日にちが経ち、彼の骨は納骨された。

そうなっても、順は、まだ自分の祖父の死を、全く理解していなかった。順は、こう思っていたのだ。

『おじいちゃんは、骨になっても、肉をつければ元に戻るんだ!元に戻ったら、また、僕と一緒に遊んでくれるよね!?』

・・・・・・と・・・・・・。

しかし、何日経っても・・・・・・、何日経っても、「大好きなおじいちゃん」は、帰っては来なかった・・・・・・。それで、順は、

『おじいちゃん・・・、今日も帰って来ない・・・・・・。』

と、とてつもなく寂しくなっていた。

そして、ある日、順は、仏壇の前に座り、マッチをシュッと擦った後・・・・・・、大粒の涙を流した。・・・もう、大事な、そして、大好きな、あのおじいちゃんには、二度と・・・・・・、もう二度と会えないことを、理解したからだ・・・・・・。

順が、一人で泣いていると、従弟の子が、順の頭を優しく撫でた、という・・・・・・。

これが、順にとって、最も辛い出来事だった、という・・・・・・。

第2話完

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