風の谷の変身

目が覚めたら

　目が覚めたら、王蟲になっていた

　どこにでもいる企業戦士。どこにでもいるような普通の人生を送ってきた。問題はなかった。昨日までは。ちなみに彼女はいない。作者にもいない。

　やばい。何が起こったし。えなんで目が覚めたら王蟲になってんの？え？なんで？昨日別に変なことしてないしなぁ。てかこれどうやって動くんだ？あなんかすごい普通に動けるや。生まれたときからこの姿みたい。いやうまれは人間だけどもね。うーん。寝る前までは普通だった気がするけどなぁ。昨日もいつも通りだったし...あまって、トイレいきたくなってきた。うわ、大分ちっちゃくなっちゃったみたいだなぁ...廊下が遠いや。うーんうちの家ってこんなに広かったかなぁ。せっかくならもうちょっと大きかったらよかったのに...あでも大人王蟲はだめよ？家壊れちゃうしね。ほどほどの大きさの王蟲いなかったんですかね...なにはともあれトイレ到着。あれ？これどうやってドア開けよう。ハンドルまで手が届かないんですけども...てかそもそも手がないんですけども。うーん。ここまで来て思っちゃった。おれ今王蟲じゃん。別に家のトイレでお花摘む必要ないじゃん。ちろっとばれないように外いってお花摘み()やっとけばええやん。ナイスおれ。今ならまだ我慢できる。やばくなんないうちに早くいこうっ...！

　結論から言うとだめだった。そういやうち高層マンションだったわ。そもそも窓開かなかったし。開いてもすぐに落ちるか風にとばされるだけだし。玄関からはやっぱりドアノブが鬼門だし。うーん...あれ？これわりと詰みなのでは？つむつむしちゃってる？やばい？まさか最大の敵がドアノブだったとは...さすがに予想できんわ。あ。お風呂場ですましてしまえばいいのでは？(迷案)よっしゃいくか。それにしてもなんでこの姿なのだろうか。あれか？カフカの変身のオマージュか？それならそうでもうちょいなんとかしようぜ。あれって一応鬱小説やろ。なんとかしろよ作者。いや無理とか言わないでさ。とりあえずナレーターでもいれてみろよ。いつまでも一人称だと言いたいことが伝わんないぞ。ただえさえ語彙力ねぇんだから。とかまぁそんなことを考えてる間に風呂場到着。やっぱ家でけぇ。普段は狭いと思ってたんだけどなぁ。よし、なんとかいけそうだしちゃっちゃと用を足して...あれこの姿ってどうやってだすんだ？

　はい。なんとかだせた。あんまり表現したくないから言わないけどなんか一生分出しきった感じがする。どばっとでたね。どばっと。...そんなことはどうでもいいんだ。重要なことじゃない。問題なのはこれからどうするかだ。えこれほんとどうしよう。この姿で会社言ってもいく道で通報されるだけだと思うしなぁ。そもそもドアノブ開けらんないから外でれねぇし。とりあえず部長に連絡かなぁ。はぁ...めんどくさ。えっと...何て言おうか。風邪...でいっか。まさか本当のことを言うわけにはいかないし。「すみません。風邪ひいちゃったので今日休みます。」っと。一日ぐらいならあの人も許してくれるだろ。まさか親を殺すわけにはいかんしなぁ。とりあえずこれでいいかなぁ...んーでも電話かかってくるかもしれんな...まぁええわ。かかってきたらかかってきたときに考えよ。