第9話ハロウィン奇想

10月26日土曜

いつもの休みに母に行き先を相談し、

しどろもどろに悩んでようやく決まった。

今日は何故だか母と妹と話に食い違いが多かった。それはいつもの天然か何かだと決めつけていたのが始まりかもしれない。


久々に小さなショッピングモールに来て吾は

「いつもより、汚れてるね」と言って母はキョトンとした。

まあ、最近は観光業に富んでいるからか、

大型ショッピングモールが二つも建設されたかと思えば初上陸のコンビニラッシュで古く感じたのだろう。

吾は書店に行くと言って一人で書店の中に入る。妙にラノベの表紙が色褪せたように感じた。それはその部類に詳しくなりすぎたからか吾はラノベ作家になる志はそう遠くないように感じた。

それからぐるりと眺め━━━━━吉本バナナ作『キッチン』に目が奪われる。バナナの作品は只単に世界的作品だという事だけは知っていたので軽く読んでその軽やかな説明とキッチンへのなんていうんだろか。そう、女心に富む濃密さがあるようだった。

冬。

正に今読みべき本だとスマホにメモを残して・・・・・・


書店から出た時である。 

書店隣のゲームセンターで仮装した若い女二人が風船を配っていた。

その風貌は正にウィッチその者で、口元はなぜか黒い布で隠し南瓜のズボンを穿いていた。最初はただの仮装だと思ってその風情を俳句にして読んだ。


南瓜食べたい仮装の風船売り


       575   吾


と句をメモって振り返った時、ばたりと姿を消していた。

あの仮装した人達は・・・・・・頭の中ではどこかに行っただの、休憩してるだの都合のいい言葉で置き換えようとしていた。

だが。

「!?」

目の前に親子がいた。

子供の両腕にはなぜか溢れんばかりの風船で埋まっていた。



「気を付けた方がいい」

吾は母と妹に警告を促し、買い物を続けた。

吾は霊感的力がある。

中学三年の頃に人ならざる存在から力を受け継ぎ、様々な体験をした。

予知、オーラの透視、霊的存在のコントロール・・・・・最初こそ戸惑ったものの、今では霊を従え時に襲われながら暮らしている。

だから、このハロウィンという名の幽霊の巣窟から速く抜け出したかった。

そろそろ身が持たないので。


ゆっくり息を吐き出し深呼吸した時━━━━━彼女が現れた。 

金髪碧眼の女騎手がそこに。彼女が剣を振るえば70万いる幽霊が言霊として浄化されていく。

みるみる内に浄化され、吾の心が和らぐ。

彼女の名は━━━━ソウルイーター。

自然と名前が分かってしまった。

まあ、幽霊の名前が分かるのはいつものことだが、彼女は悪い人には到底思えないのだった。


帰り道の車で母にその全てを話した。

母も母で信じたいらしいが、どうも半信半疑らしい。

それが当たり前だ。人に見えない者を感じる方が異常であり、オカルトを語る者に非があるのである。

だが一つだけ、母が聞いてきた。

’ソウルイーターってどんな人?,

吾は興味本位でネットで検索し固まった。

なぜならば。


ソウルイーター


いい意味で人を惑わし誘惑し。

悪い意味で人の人生を狂わせる破滅に追い込む・・・・・



人は不思議な体験を忘れている。

謎は謎のままに世界は出来ていると吾は再認識された

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