再会・・・そして・・・
勝利だギューちゃん
第1話
夏休みに入って間もない頃、
僕は、とある田舎の駅に降り立った。
小学生以来だから、7年ぶりか・・・
でも、最初に思ったのは・・・
「全く、変わっていない」
普通、7年もすれば、多少は変化がある。
でも、全くなかった。
「ここまで変わらないと、ある意味貴重だな・・・」
「少しは、変わっているけどね」
その声に振り向く。
「やあ、久しぶりだね。磯辺くん、元気だった?」
「光山さん?」
「うん、奇麗になったでしょ?」
僕の記憶になるのは、10歳の光山琴美さん。
面影はある。
でも、とても女っぽくなっていた。
「うん、見違えたよ。まさか、こんなに可愛くなるなんて」
「磯辺くんも、背が伸びたね。前は、小さかったのに・・・」
「そりゃあね・・・でも、どうしてここに?」
光山さんは、笑う。
「君と同じだよ、磯辺くん」
「僕と同じ?」
「うん、さあ行こう」
2人して歩く。
想い出話しに花が咲いた。
「あれからどう?」
「まあまあかな・・・光山さんは?」
「私も・・・かな・・・」
駅から程近いところに、墓地がある。
今回の目的はそこだ。
「みんな、ここに眼ってるんだね」
「うん、安らかに眠ってくれてるといね」
7年前。
クラスで、バスツアーに行こうと言う計画があった。
みんなとても嬉しくて浮足立っていた。
でも、僕と光山さんだけは、風邪でダウンして、参加出来なかった。
でも、それが僕たちの命を救った。
クラスのみんなを乗せたバスは、転落事故に遭い、全員が命を落とした。
「恨まれてないかな、僕たち・・・」
「大丈夫だよ」
「だといいけどね・・・」
墓前で手を合わせる。
クラスひとりひとりの、想い出が蘇ってきた。
「じゃあ、私はもう、行くね」
光山さんが、言う。
「うん」
「みんなには、よろしく言っとくから」
「頼む」
その光山さんも、もうこの世にはいない。
昨年の今頃、急な病で世を去った。
「磯辺くんは、おじいちゃんになってから来てね」
後ろから光山さんの、声がした。
「さてと・・・連絡しますか・・・」
僕はスマホを取り出して、電話をした。
『もしもし
こちら磯辺。
はい、接触が取れました。
では』
光山さん、そしてクラスのみんな。
悪いが、君たちを会う事は、もうない・・・
なぜなら・・・
「磯辺さん、いかがでした?」
「楽しかったです。」
「懐かしかったですか?」
「ええ、とても・・・」
ここは、僕が作り出した、仮想現実。
全てか幻。
光山さんは、その最後の砦。
もっとも、会いたかった人。
僕はまた戻る、
社会の歯車の中へ・・・
また、錆ついたら、落としに来よう。
その時は・・・
再会・・・そして・・・ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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