第6話 重要な事を言うからA連打に気をつけろの時間
「ふぅー、スッキリしたー」
知らない世界へ誘われマストの知らない未知の世界での情報、そこで出会う仲間たち、そしてモモキのあの笑顔…それらの曖昧になりかけの記憶が溜まりに溜まっていた。それが尿意となってマストの膀胱を刺激していた。それをマストは今解放したのだった。
「変な例えやめてくれルゥ?!そこシリアスにまとめるところじゃん!なぜにトイレで表現するんだ!」
そもそも「ふースッキリしたー」の後にかっこよくまとめるなど無理なのである。そんな与太話をしていたマストは職員トイレを使っていたのだ。
「話変えやがって、クソ作者め!バレンタインデーでマカロン貰ったけどコミ障だからお礼も出来なかったダメ人間が!そもそもあまりもんじゃねぇーか、、、ってか職員トイレだったの?!」
「お前、職員トイレは生徒は使ったらあかんって言っとるやろが」
ーここで運悪く生徒指導の猫坂先生(何故か関西弁)じゃねぇーかぁ、あのクソ陰キャ仕込みやがったな…
「す、すいませんでしたっ!」
そう言って小便を済ませたマストは筆者を馬鹿にすると悪いことに会うと言うことを思い知りつつ、足早に教室に向かうのだった。
「覚えておけよ、クソ陰キャめ…」
と、捨て台詞を吐いたマストの目の前に機関銃を構えた子川と同じく小学生の頃からの同級生である猪爪[いづめ]ヒスが立っていた。黒髪のショートボブで目つきが鋭く少し前の女子高生のような雰囲気を漂わせている。その時マストは察した。
ーっ?!蜂の巣にされる!
「人気者の作者様!無礼なことを申し誠にすみませんでしたぁぁあ」
と、跪き涙を目にしながら誤った。その願いが届いたのか我が使いは銃を下ろし立ち去った。マストは拳を固く握り締め泣く泣く教室に戻ったのだった。
「お、大丈夫かマスト?いきなり叫ぶからビックリしたぜ」
二時間めが終わり3時間目のテストの十分前に帰ってきたマストを心配し、同じクラスで金髪に染めた目つきの悪い馬場[ばば]ゼンが声をかけた。ゼンはこう見えて意外と臆病で気が優しいのだ。しかしゼンはとある異変に気付いた。
「お前、なんで泣きそうなんだ?まだ気分悪いのか?!、、、も、もしかして俺の優しさに感動しているのか!?」
「違うわっ!!また奴にやられたんだよ!」
「またヒスか…あいつ、クソ野郎と手を結んでから機関銃持って襲ってくるようになりやがって…」
と、静かな声で気付かれないようにゼンが説明口調で話しそっとヒスの方に目をやった。数多の銃口がゼンに向いていた。
マストとゼンはすぐさま解散し自分の机へ戻りテスト勉強を始めたのだった。。。
「はい、みんな席に着けー」
今から本日最後のテスト、歴史(日本史)のテストが始まろうとしていた。教室は先生が来るまでの空気と変わり静まり返る。その中で1人落ち着かない生徒が1人。
ー次は歴史かぁ〜みんな今頃頭の中で用語の確認とかしてんだろうな、それよりも、だ。また妄想の世界に行けるんだろうか…
そんな不安と期待、そして少しの焦りが混じりもそもそしていた時だった。。。
『マストは予習しなくていいのか?』
「うわぁ!」
思わず声が出てしまった。脳に直接話しかけられるのは例えn回目でもいきなりは驚いてしまう。それはマストに限ったことではない、そしてクラスの生徒も同じだ…
「マスト、お前大丈夫か?あれだったら保健室に行くんだぞ」
「だ、大丈夫です…」
「はい、静かにー」
場がざわめいたのを速やかに対応した。そして静かになったのを確認しテストを配り始める。マストは高鳴った鼓動を抑え冷静になろうとしていた。
『何驚いてるんだよ』
ーい、いきなりだったらびっくりするだろ!
『はいはい、悪かったな』
ーそれよりも何でまた??何で俺は現実に戻ってこれたんだ??
モモキの声に少し懐かしさを感じつつより冷静になり向こうの世界のことを聞こうとした。
『ああ、詳しい説明がまだだったな、マストが現実に戻ったのはチャイムの音だな。具体的にいうならば授業が終わったからだな』
ーつ、つまりは授業が終わると自動的に現実に戻るという設定なのか。。。それならまた入る事はできるのか?
『イエスかノーで言うとイエスだな、だけどテストが終わってからじゃないと入れないぞ』
ーなるほど…普通にテストを受けて余った時間で向こうの世界に行くって感じだな…
ここで新たな疑問点が浮かび上がった。テストの余った時間、、それは高校レベルの数学ならば諦めない限り時間がギリギリになる事、時間の余る暗記系のテストでも最大2、30分程度といったところか。そもそも、、、
ーなぁ、余り時間はせいぜい10分あればいい方だぜ?てか、向こうに行って何すればいいんだ?
『質問攻めだなぁ、今から長々と色々と向こうの世界の事を教えていくからテストを解きながら聞いておけよ』
ーお、おう
〜キーンコーンカーンコーン〜
「では、初め」
鳴り響いたチャイムと同時にマストは思考回路の一部をモモキの声に使い他の神経でペンを走らせる。歴史は得意でもないが苦手ではない。小学生の頃は戦国時代に興味を持ち今では大半忘れたが人よりは知っている。そのためマストは歴史のテストになるといつも戦国時代ってなんであんまり取り上げてくれないんだろうと想ってしまう。そして今日も、、、名前を書いたところで思わずペンが止まっていた。
『そんな妄想何千回と聞いたわ、早く解けよ』
ーおう、わかった。
そしてペンを再出発させる。
今のマストには何千回と言う意味が分かっている。しかし、今は聞かない。また聞ける日がある。そう言い聞かせペンを再び走らせる。そしてモモキが向こうの世界についての説明を始める。
読者の方々もここ重要だから!ここテストに出るから!
『まずはじめに向こうの世界の性質?というか特徴を言うと《時の流れはこっちの世界の4分の1で流れてる》つまりはここでの4分が向こうの世界の1分に値するということ。そして《向こうの世界ではどんな衝撃もあまり感じない》基本的に死ぬ事も大怪我もすることはないってことだ。今回でいうとマストを合わせた6人のプレイヤー全員にその強力なバフがかかっている。』
ーそ、それだ!ちょ、ちょっと待ってくれ
淡々と説明するモモキの流れに堰入れた。マストには前から気にかかることがあった。
ーなんで俺たちはプレイヤーなんだ?そもそも俺たちは俺を合わせて5人だったはずだぞ。。。
『まぁ説明せざるを得ないよな、そもそもこの時間に教えるようにフィジ様にも言われたわけだし、、、とにかく、マストら6人のプレイヤーはこの一年の間勝負をしてもらう』
ー勝負!?
『優勝者にはなんでも願いを1つ叶えることができる』
《願いを1つ叶えることができる》このワードを聞いて気を引かれない人はいない。マストのペンは完全に止まっていた。そして思考回路はテストには向いていない。
ーそ、それ本気か?!なんでもだよな!そんで勝負の内容とは??戦国武将の名前なら負けない自信あるぜ!!
『BOD《Battle Of delusion》妄想の戦い、戦国時代風だ、よかったな。』
ー名前安直すぎないか?!それよりその合戦の内容は??
マストは固唾を飲んだ。
『そのままの意味だ。妄想を使って他プレイヤーと闘うんだ。ついでに詳しく言っておく方がいいか?』
ーYES,of courseだ。
そう言って問題をスラスラと解いていく。
『簡単に言うと1:1:1:1:1:1の大乱闘なんだ。それぞれのプレイヤーには私たち守護者(ガーディアン)が武器となり相手をぶっ倒して点数を競い合い、最後に得点が一番高い者が勝者となり願いを1つ叶えることができる。エリアはこの学校の敷地内、期間は今の中間テスト3日目、つまり明日の一時限目のテストから来年の学年末テストの最終テストまでだ。ちなみにプレイヤーの向こうの世界へのアクセスはテスト時間のみとなっている。』
ーな、なるほどな…、お前、、武器になるんだな、驚きだ。。。
『ま、まぁな私だって優秀な武器なんだからここにいるわけだし』
モモキは少し嬉しそうに照れて答える。
ーでも、向こうの世界での武器はそれだけじゃないんだろ?俺の勘がそう言ってる。
『その通りだ!お前、珍しく冴えてるなぁ!正直驚いた。』
ーお、おー、褒められてるんだかけなされてるんだか分かんねぇな。
マストは鼻からため息のように溜まった空気を吐く。
ーでも、俺にだってそんなことぐらいよくある設定だから分かるんだよ。
得意げな顔をするマスト。
『ふーん、そうなんだー。』
ーっ…
『それよりも、その”もう1つの武器”のことだけど、それは《妄想力》。』
ー妄想力??
『そうだ。強く念じたことがその世界に具現化し思い通りに操れる武器とは言い難いけれど使い方によってはとてつもない力を持つ。ちなみにだけど、、、やっぱりこれは後でいうわ。それより早く終わらしなさいよ。』
長いの針はチクタクと進み時計の針は終了25分前の10分を指していた。
ーまだ半分しか経ってないだろうが!って言わせたかったんだろうが、、ふっ!もう終わったぜっ!!!
終わりを見せつけるかのようにペンを力を入れつつも軽く置き、答案用紙の上にある消しゴムのカスを払った。
『なっ、なにっ?!』
ー驚くなよー?俺は世界史の横文字は覚えられないが日本の偉人なら余裕に覚えられるぜ!しかも今回のテスト範囲はまだ条約の名前とか少ないから楽勝…楽勝、、、
『ん、ん?』
次第にマストの顔がどんどん薄らいでいく。
マストの顔色を伺いテストの答案用紙を見てみると、、、
『あ、はーん。』
ー言ってみたかったんだよ!勉強できなくてもこれだけはできるみたいなこと言ってみたかったんだよ!!なんだよこのテスト授業寝てたから全然わかんねぇーよ、条約結びまくってるよ!!
『はいはい。見直しがいいならもう向こう行くぞ〜』
マストのくだらない戯言を左の耳から右の耳に伝って受け流し棒読みで勧誘する。
『はいはーい、リラックスして強く妄想して脳(め)を開けてくださーい』
飛んでいきそうな肩の力を抜いて脱力するそして視線を点数がかかれる枠の隅に集中させ強く念じた。
ーあーなんかテストなんかどーでもいい、そうだ俺が偉人になって、そして歴史そのものになってしまえばいいんだ!そんでもってみんなが俺の名前を回答できないようにパブロ並みに長い名前にして日米修好通商条約と日米和親条約みたいにややこしい条約をむすんでやるぅぅぅぅぅう!!!!!
そのくだらない妄想が天高くへと舞い上がり向こうの世界へとマストは旅立つのであった。
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