第130話【必要なお金】
「おかえりなさ〜い」
家に帰ると母さんがリビングでくつろいでいた。
「あ、お母さん帰ってたんだ。
意外に早かったんだね」
カエデはそう言いながらキッチンに向かう。
何か飲みのもでも飲みに行ったのだろう。
「うん、あらかた買うものは決まってたから悩む時間が全然なかったからね」
「あれ?
沙耶は一緒じゃないのか?」
「今日は待ち合わせにしたいから一旦家に帰るって。
後でメールとかで時間相談しなさい」
「了解」
「ちょっとあんたそこに立ちなさい」
「何でだよ」
「いいから早く」
仕方なく母さんの前で立つ。
「回転」
「はいはい」
俺は大人しく母さんの言うことに従って回転する。
まあ、今日の俺は母さんのお金で出来ていると言っても過言ではないので仕方ないことだろう。
「うん、いい感じね」
母さんが満足したようで何よりである。
「なぁ母さん。
あんな大金よかったのかよ。
てか、どこからあんな金出てきたんだ?」
「大丈夫、大丈夫。
元々、あんたに彼女が出来た時ようで貯めてたお金だから。ちゃんとカエデ用もあるし問題ないない!」
「いや、大問題だろ。
カエデのもあるってことは少なくとも百万円は俺ら兄妹の交際の時用の貯金があるってことだろ?普通の貯金はちゃんとあるのかよ」
「チッチッチッ、甘いよ我が息子よ」
母さんが指を左右に振りながら俺を煽ってくる。
「なんだよ」
「一人、五十万じゃない、一人、百万円よ!」
「馬鹿だろマジで」
「なになに?
何の話してんの?」
キッチンにいたはずなのにいつの間にかどっかに行っていたカエデが戻ってきた。
「あ、お兄ちゃんこれ」
「ん?
あ、ありがとう」
カエデが渡してきたのは前のデートの時にもつけた父さんのロ〇ックスだった。
前もつけてので今更なんか言うのもあれなので素直に受け取ってつける。
「で、何の話してたの?」
「あ、そうだ!
おい、聞いてくれよ。
母さん俺らの交際した時用の貯金が一人、百万円あるとか言い出すんだ。
お前からもなんか言ってやってくれ」
「え!?
そんなのあるの!
じゃあ、私誰かと付き合う予定とかないしその貯金頂戴!」
「それはもっと違うだろ!」
「あいた!」
俺はふざけたことを言うカエデの頭を軽く叩く。
「それはダメ。
ちゃんと相手見つけなさい」
「へ〜い」
カエデは頭を撫でながら渋々といった感じで返事をする。
「我が家って結構稼ぎあるのよね。
だからって無駄に大きな家に住んだり無駄に高い変なツボとかを買うつもりは無いわ。でもあなた達が幸せになるために使うお金は無駄なものじゃないわ。必要なお金よ」
「そう思ってくれるのはありがたいんだけど、父さんはいいって言ってるのか?」
「当たり前よ。
うん、それは必要だな!ってすぐにOKしたわよ」
「まじか。
まあ、両親共にいいって言ってんだったらいいか。
俺らはしてもらってる側だしな」
「そうそう、気にしな〜い気にしな〜い」
「じゃあ、俺は時間まで部屋にいるわ」
「寝転んだりしてセット崩したらダメよー」
「あ、そうだったな。
わかったよ」
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