第82話【アホの子】
「ただいま〜」
俺はカエデに頼まれた夕飯とお菓子を買って家に帰った。
「それでね、ーーー」
「うんうん。
さすが沙耶さんですね!」
リビングから楽しそうな話し声が聞こえてくる。
「あいつら、勉強しとけって言ったのに何遊んでんだよ」
俺は少し怒りながらリビングに入る扉を開けた。
「おい、お前達何してるんだ?」
「あ、お兄ちゃんおかえり〜。
買ってきたお菓子ちょうだい」
「おかえりなさい、お兄さん」
「快人くん、おかえり」
皆にはそれぞれくつろいで、遊びに来ました感がめっちゃ出ていた。
「おい、貴様ら今日はなんのために集まったかわかっているのか?」
「「「え?」」」
女の子三人は動きを止め考え始める。
「「「そうだった!!!」」」
そして、三人は自分達がなんのために集まったかを思い出し慌て出す。
「カエデは、まあ、アホの子だから仕方ないが残りの二人は真面目枠だろ?
しっかりしてくれよ」
「お兄さんごめんなさい。
買い物にまで行かせたのに私達だけ遊んでしまって」
「あははっ、面目ない」
「アホの子とはなんだ、アホの子とは!」
「はぁ、もういいからさっさと準備して」
「「「はい」」」
それからは少しの休憩は挟んだが順調にテスト勉強は進んだ。
「そろそろ終わりにしようか」
「あ〜、やっと終わった!」
早速カエデは伸びをして後ろに寝転がる。
「ふぅ、結構進みましたね。
お兄さんありがとうございました」
「どういたしまして。
あんまり見てあげられなかったけど沙耶はどうだ?」
「うん、私も結構進んだよ。
やっぱり一人でするより皆でする方が捗るね。
一人だといろんな誘惑に負けちゃう」
「あ、それわかる」
いや、カエデは皆と一緒でもさほど変わらんだろ。
「それより、さっきから気になってたんだけど、沙耶と琴音ちゃん随分と仲良くなったよね?
俺が買い物行ってた時に何かあったの?」
「え、え?
いや、何も、無いですよ?
ね、ねえ、沙耶さん」
「う、うん、そうそう。
快人くんが気にするようなことは何も無かったよ?」
明らかに二人とも動揺してるな。
何を隠してるんだ?
「そ、そう言えば快人くん、お願いがあるんだけど」
露骨に話しを逸らそうとしてきたな。
まあ、いいけど。
「なんだ?」
「あの、テストが終わったら私のバイトを見に来てくれないかな?」
沙耶のバイトっていったらモデルの仕事だよな?
「まあ、いいが、いきなりどうしたんだ?」
「いやね、私が快人くんと付き合ったらもしかしたら辞めるかもしれないでしょ?
その前に快人くんに私の頑張ってる姿を見てもらいたいなぁと思って」
モデルの仕事は、彼氏持ちだと人気が落ちたりするらしいから仕方ないことなのかな。
別に断る理由もないし、沙耶のモデル姿は前から見てみたいと思ってたから行ってみるか。
「わかった。
また日を教えてくれ」
「うん、わかったよ」
それからすぐお開きになって、琴音ちゃんを家の近くで、沙耶を駅までとそれぞれ送って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます