第66話【ナンパ】
俺は待ち合わせ時間の十五分前の十一時四十五分に着いた。
「まだ来てないのかな?」
周りを見渡す。
「やめてください!」
「ん?」
声のした方を見てみると女の子が数人の男に囲まれていた。
漫画とかでよく見るやつだ。
本当にこんなことする人達いるんだな。
さて、助けるかいなか。
「私、待ち合わせしてるんです。
どっかいってください」
「そんなやついいじゃん。
俺らと楽しいことしようよ」
「そうそう、金なら俺達が全部持つからさ」
ん?
なんかこの声聞いたことあるような?
俺は目を凝らして絡まれてる女の子を見る。
え!?
沙耶じゃん!
またテンプレな。
おっとそんなこと考えてないで助けなきゃ。
俺は慌てて沙耶と男共の所に近づいていく。
「おう、沙耶。
待たせたな」
「あ、快人くん」
沙耶は男達を振り切り俺の後ろに隠れる。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
俺達は男達を無視して歩いていこうとする。
「おい!
何無視してんだよ!」
「黙れ。
お前らこんなことして恥ずかしくないのか?
それにこいつは俺と待ち合わせしてたんだ。
わかったらさっさと散れ」
「この!
調子に乗りやがって!」
一人の男が俺の態度が気に食わなかったのか殴りかかってきた。
「快人くん危ない!」
沙耶がその事に気づき声を上げる。
「ふっ」
「なに!?」
俺は殴りかかって来た男の拳を掌で受け止め、力を入れる。
俺握力に自信あるんだよね。
具体的に言うとリンゴを片手で余裕で潰せるぐらい。
「痛い!痛い!痛い!
悪かった!
俺達が悪かったから離してくれ!」
俺に拳を握られた男はあまりの痛さに暴れ半泣きで謝ってくる。
俺は手を離し軽く押す。
押された男は体制を崩したところを仲間に受け止められる。
「今回はこれで許してやる。
次はないぞ」
俺は出来るだけ怖い顔を作って男達を脅す。
「「「ひ、ひぃ!」」」
「行くぞ!」
そう言って男達は走り去って行った。
最後の最後までテンプレだったな。
なんかここまで来たらウザイとか面倒臭いとかよりも感動のほうが強くなってしまう。
「「「おー」」」
周りにいた人達からの歓声が聞こえる。
歓声を上げるぐらいなら助けろよ。
「快人くん。
助けてくれてありがとう」
「いいよ。
待たせてごめんね。
もっと早く来ていればこんなことにはならなかったのに」
「全然いいよ。
私が早く来すぎただけだし。
快人くんのカッコイイ姿を見られてとても嬉しかったし」
なんか照れてしまうな。
沙耶の顔もちょっと赤いし。
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