第60話【間接キス】

あの日から四日が経ち五月十七日、金曜日になった。


俺は珍しく早く目が覚めリビングに向かった。


「おはよ〜」


「あ、おはよー」


「お兄ちゃん、おはよう」


「ごめん、うるさかった?」


「え?

何が?」


俺は何のことを言っているのかわからず首を傾げた。


「そういえばこの荷物なに?」


俺はリビングの端にあるこさ大きなカバン二つを指さして言った。


「今日、私とお母さんが佐藤家に泊まらせてもらうからその荷物だよ。

私は学校終わりにそのままくるし、お母さんはお義母さんと一緒に仕事終わりにそのまま来るって」


あーそういえばそんな話しもあったな。


「ふぅ〜ん。

で、うるさかったってなんかしてたの?」


「今日は荷物を置くためにお母さんと来たんだけど、、、。」


「あ、それは私が話すね。

美陽さんが来たことにお母さんがテンション上がっちゃって朝っぱらから騒いでたんだよ」


沙耶が言い難い感じだったのはそういう事か。

人の母親を悪くは言い難いからな。


「近所迷惑な人だな」


「あははっ」


「お兄ちゃん」


「なんじゃい?」


「今日帰り買い物行くから荷物持ちね」


「了解」


まあ、沙耶と美陽さんの分も作るとなると食材が多くなるからカエデ一人で持って帰るのはきついか。


「沙耶はどうする?

先帰っとくなら鍵渡しとくけど」


「何で私だけ仲間外れにしようとするの?

一緒に行くよ」


「いやべつにそんなつもりはなかったんだが」


「じゃあ、皆で行こう!

校門で待ち合わせね!」


「わかった」


「うん」


「はい、朝ごはん。

早く食べて準備しなよ」


カエデが朝ごはんを出してくれる。


「ありがとう。

今日はいつもより早い時間なんだからちょっとぐらいゆっくりしても大丈夫たろ」


「私と洗面台使う時間被せないでね」


あ、そういう事ね。


「はいはい。

わかりましたよ」


「あ、沙耶お茶取って」


お茶の入った入れ物の近くに沙耶がいたので頼む。


「ん」


沙耶はそう言って自分のグラスにお茶を入れて渡してくれる。


こいつは間接キスとか気にしないのだろうか?

俺は全然気にしないからいいんだけどさ。


「おい、これお前が飲んでたやつだろ」


「あ、そうだね。

嫌ならコップ取ってくるよ」


「お前間接キスとか気にしないの?」


「気にするよ?

他の男子だったら嫌だけど快人くんとならむしろ嬉しいし」


「まあ、お前がいいならいいか」


俺はそのままそのコップを使ってお茶を飲む。


やべっ、今ちょっとドキッとしたぞ。

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