第56話【確定事項】
あれから二人がどんな話し合いをしたのかは聞くことは出来なかった。
まあ、別に喧嘩したとか仲が険悪になったとかはなさそうなのでそこまで気にすることではないのかと思っている。
ていうか、なんか前より数段仲良くなっているような気さえする。
昼食は一緒に食べたが、他の休み時間は沙耶、奈緒、木下さんの美少女三人が仲良く話しているというとても素晴らしい光景が我が教室で起こっており、クラスメートは勿論のこと他の学年、他のクラスからも人が来てその光景を眺めていた。
キーンコーンカーンコーン
ホームルームの終わり、みんなは帰ったり、部活に行ったりしだす。
「沙耶、今日はどうするんだ?」
「今日は、私、奈緒ちゃん、美波の三人と快人くんで佐藤家に行きます」
「は?
俺何も聞いていないんだけど」
「ちゃんとカエデちゃんには確認をして了承を得ています」
「何でカエデにはあらかじめ確認をとってんのに俺には確定事項として伝えてくんだよ!」
「だって、快人くんにあらかじめ言っておくと変な理由つけて逃げたり何とかして私達を家に来させないように動くでしょ?」
よくおわかりで。
「ジン!
一生で一度のお願いだ!
一緒に来てくれ!」
俺は完璧な土下座を決めてジンにお願いする。
「いや、勘弁してくれよ」
「ジン!
俺を見捨てるのか!
この卑怯者!」
「まぁ、お前の気持ちはわかるが勘弁してくれ」
「快人、こんな美少女三人と帰れるのに何が不安なんだよ」
奈緒が教室にいる他の連中まで聞こえる声で言いやがった。
「なに?
あの三人と帰るだと?」
「さっき佐藤家がうんぬんって聞こえたぞ?」
「まじか!
死ね!」
「爆発しろ!」
「三枚におろしてやる!」
ほらー。
いろんなとこから暴言や殺気が放たれたじゃないか。
まあ、俺はそれどころではないので無視しよう。
「カエデ含めて女子四人の中に男子一人だぞ!
絶対に居心地悪いだろ!
それにお前ら絶対俺で遊ぶ気だろ!」
「そ、そんなことするわけないじゃん」
こいつどもりやがった!
ジンがダメならタクだ!
「タク!
お前なら一緒に来てくれるよな?
俺ら友達だよな?」
「いやな、俺も行ってあげたいのはやまやまなんだが、まだ死にたくないんだ」
そう言ってタクが沙耶の方を見たので俺もつられて沙耶の方を見た。
そこにはもの凄く怖い顔の沙耶の顔があった。
「ジン、タク。
俺が悪かった。
お前達を死なせたくは無いから一人で行くよ」
「悪いな快人。
俺らが不甲斐ないばかりに」
「俺らはこれからも友達だぞ」
「ああ、ありがとう。
頑張ってくるよ」
そう言って俺達三人は拳を合わした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます