第47話【いい友達】

「そろそろ帰るか」


ジンの言葉にみんなが賛成して代金を払い店を出る。


「じゃあ、バイバイ」


「おう、また明日学校で」


帰り道的に俺とジン、奈緒とタツに別れて歩き出す。


それから五分ぐらい歩いたところでジンが真剣な顔で話しかけてきた。


「なぁ、快人」


「何だ?」


「奈緒の事なんだがな」


「ああ、どうしたもんかね」


本当にどうしたらいいかで悩んでいる。


「あいつ自分の気持ちに気づいた時泣いてたらしいぞ」


「へ?」


「何でもっと早く気づけなかったんだって」


こういうときってなんて言えばいいんたよ!?


「今日の遊びも、奈緒から言い出したことなんだぜ?」


「え?

本当か?」


完全にジン発案だと思ってたわ。


「ああ、昨日の夕方ぐらいに、「私は快人のこと好きだわ。

だけど。沙耶ちゃんの本気さもわかるし、横入りはやっぱり駄目だと思う。

だから、私は引くことにする。

だけど、快人には私が好きだってことだけはちゃんと知ってて欲しい。

だから、手伝って欲しい」ってね。

それで今日、お前とタツを呼び出して欲しいって言われたから連絡入れたんだよ」


「そうだったのか」


「俺は別に、お前を責める気も奈緒を選べとか言うつもりはさらさらないよ。

松本さんが本気でお前のことが好きで頑張ってるのにその邪魔をするなんてことは出来ない。

ただ、奈緒が望んでるように奈緒の気持ちを忘れずに、それでもこれまでと同じように接してやって欲しい」


俺は無言になってしまう。

奈緒の気持ちを知ってしまった今、今までと全く一緒の接し方が出来るか正直不安だ。


「俺が難しいことを言ってるのはわかってるよ。

奈緒も自分の気持ちを言おうと決めた時も相当悩んだらしい。

今の関係が壊れるかもしれないという恐怖と気持ちだけでも伝えたいって気持ちのどっちを優先するかでな。

それでも最後はお前と今後の自分を信じて言うことを決めたらしい。

厳しいことだと思うが出来るだけ頑張ってやってくれ」


「ああ、頑張るよ」


「おう!

それと、松本さんへの返事もしっかり考えて返事しろよ。

これで適当な返事したらまじ怒るからな」


「わかってるよ。

俺だってそこまで馬鹿じゃない」


「そうだよな!

まあ、何かあったらいつでも相談しろや。

俺ができる範囲で手伝ってやるよ」


「頼りにしてるよ」


俺は本当にいい友達をもったなと切実に思った。


それからの帰路はジンの彼女との惚気話しを聞かされながら帰った。

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