第44話【帰宅】

「よし!

快人、カエデ、そろそろ帰るわよ」


ついさっきまでゴロゴロして美陽さんにちょっかいをかけていた母さんがいきなり立ち上がって言った。


さっきから思ってたけど母さんと美陽さんってほんと仲良いよな。


「はいよー」


「うぃ~」


俺とカエデも重い腰を上げる。


「じゃあ、まっちゃん、沙耶ちゃん今日はありがとう。

楽しかったわ」


「「お邪魔しました」」


母さんの挨拶の後に俺とカエデが声を合わせて挨拶をする。


「いえいえ、こちらこそ楽しかったですよ。

あ、下まで送っていきますよ」


「いや、大丈夫よ。

夜も遅いんだし、家でゆっくりしておいて」


「はい、わかりました」


「快人くん!

明日は、ちゃんと奈緒ちゃんに気をつけるんだよ!

変なことされたらすぐ連絡して!

バイトなんて飛んですぐ助けに行くから」


こいつはほんと何言ってんだよ。


「そんなことないから大丈夫だよ。

沙耶は安心してバイトに勤しんでくれたまえ」


「うぅ〜」


何だよその目わ!


はぁ、めっちゃ恥ずいことするか。


「沙耶」


「なに?」


「沙耶が可愛く写ってる写真を楽しみにしてるから。

バイト頑張ってこいよ」


沙耶の不安そうな顔がどんどん笑顔に変わっていく。


「任せておいてよ!

快人くんが可愛いって言ってくれる写真をいっぱい撮ってくるよ!」


「おう!

楽しみにしてる。

じゃあ、バイバイ」


「うん!

バイバイ!」


沙耶と美陽さんと別れ俺達は車の方に向かっていく。


「あんた今めちゃくちゃ恥ずかしいこと言ったわね」


「そうだね。

聞いてる私まで恥ずかしかったよ」


母さんとカエデがニヤニヤしながら俺に言ってくる。


「わかってるよ!

わかってるから言わないでくれ!

ああでもしないと沙耶がバイト飛びそうだっただろ!」


俺は、とても恥ずかしくなり顔を赤くしながら弁解する。


「そうね。

それに、恥ずかしい言葉だったけど。

言われる人にしたらとても嬉しい言葉だと思うわよ。」


「うん。

私もそう思う。

ちょっとお兄ちゃんのこと見直しちゃったかも」


「そりゃどうも」


俺は、顔を真っ赤にしたままそっぽ向いた。


それからは無言で車まで行った。


「それじゃあ、自宅へ向けてしゅっぱーつ」


「おー!」


カエデの返事と共に車は自宅へ向けて動き出す。

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