第38話【別腹】

「この後どうする?」


母さんが時計を見ながら言った。


それに釣られて俺も時計を見るとまだ十四時半頃だった。


「晩御飯の買い物をしたいのでスーパーにはよってもらいたいですが、まだ時間もありますのでお任せしますよ」


「そうよね。

スーパーには寄らないとね」


いつも二人分だったのがいきなり五人分になったのだ、買い物に行かなければ食材が足りないのは当たり前だ。


「とりあえず喫茶店でも行って、コーヒーでも飲んでゆっくりしましょうか」


「さんせー」


お肉が美味しすぎて食べ過ぎてしまったのかお腹を擦りながらカエデが言う。


「じゃあ、行きますか」


俺達は、母さんの車に乗り込んで喫茶店へと向かった。


十分ぐらいで喫茶店につき席に座る。


「みんな何頼む?

私は、コーヒーだけでいいけど」


「俺もコーヒー」


「私もコーヒーでお願いします」


母さんと俺と美陽さんはコーヒーのみに決定した。


「私はねー。

カフェオレとパフェ!

沙耶さんこのパフェ半分こしよ!」


「お前まだ食うのかよ」


「甘いものは別物だよ!

それに沙耶さんと半分こだし!」


「いや、まだ沙耶はいいって言ってないだろ」


「ん?

私はいいよ。

あと飲み物もカフェオレで」


「じゃあ、決定だね!」


店員を呼び、コーヒー三つとカフェオレ二つ、あといちごパフェを頼んだ。


世間話しをしているとすぐに注文の品が来た。


「うわぁー。

美味しそうだね沙耶さん!」


「そうだね!」


お前達さっきまでお腹いっぱいって言ってたんじゃないのか!


カエデなんかお腹までさすってただろ!

何でパフェを見て目をキラキラさせているんだ!


「お前らよく食べれるよな」


「甘いものは別腹だよお兄ちゃん!

ね!

沙耶さん!」


「そうだよ快人くん!

女の子には別腹が存在するんだよ!」


食べ過ぎると太るぞと言う言葉が口から出そうになったが、怒った時のカエデと沙耶の顔が頭に過ぎり、ギリギリのところでその言葉を飲み込んだ。


「あなたは若くていいわね。

私にも昔は別腹が存在したのよね〜」


「そうですね。

もう全然入りません」


母さんと美陽さんが遠い目をしながら言う。


どうやら歳を取ると別腹は消滅してしまうらしい。

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