第25話【まーさーかーの?】
「そうだったの。
苦労してるのね」
「いえ、大丈夫ですよ。
母はとても優しいですし、今はもう収入が結構あるみたいなので」
松本さんが微笑を浮かべながら言う。
「そう言えば、私の部下にも同じような子いるわ。
たまたまだとは思うけど名字も沙耶ちゃんと同じ松本って言ってね。
苦労してるんだろうけど、そんなことは少しも出さずにいつも笑顔でいる凄い人」
「それって一年ぐらい前にべろんべろんに酔って家に帰ってきて俺を捕まえて愚痴言いまくってた時に聞いたことあるよ」
あの時はしんどかった。
明け方まで延々と話を聞かされたからな。
次の日、学校があったら死んでたよまじで。
「そう言えばそんなこともあったわね」
「そそ、その人に何か手助けしてあげたいけど、余計なお世話かもしれないし、変に首を突っ込むのは良くないとかで悩んでるからどうにかしろとか意味わからんこと言ってきた」
「そうだったわね。
思い出したわ。
それであなたの助言通り、「何か困ったことがあったらか力になるからなんでも言って」って言って皆と同じように接することにしたんだよね」
「結構その人は今どうしてるの?」
「今でも私の下で頑張って働いてくれてるよ。
あの言葉が効いたのか、たまに相談を持ちかけられることもあって仲も結構良くなったのよ」
「へぇーそうなんだ。
いい事じゃない」
「お母さんって結構いい事するんだね」
カエデが失礼なことを言う。
「あんた失礼ね。
私だって鬼じゃないんだから可愛い部下が困っていたら助けたいって思うものよ」
母さんが部下の話をしてからずっと考え込んでいる松本さんに声をかけた。
「松本さんさっきから黙ってどうしたの?」
「あ、ごめんなさい」
「いや、いいんだけどね?
どうかしたの?」
「あの、お義母さん。
その人の名前聞いてもいいですか?」
「なに?
同じ名字で親近感わいちゃった?」
母さんが冗談ぽく聞く。
「まあ、そんなところです」
「まあ、いいわ。
松本美陽さんよ。
私はまっちゃんって呼んでるけどね」
母さんが笑いながら言った時、松本さんは凄く驚いた顔をしていた。
まーさーかーの?
「えーと、沙耶ちゃんまさか?」
母さんが恐る恐る松本さんに聞く。
「えぇ、そうです。
私の母です」
「「「えーー!」」」
俺と母さんとカエデの声が部屋に響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます