第16話【質問】
「はいはい〜どなた様ですか〜」
「私は、松本沙耶と申すものです。
入らせてもらってもよろしいでしょうか?」
「はいはい〜どうぞ〜」
「はいるよ〜」
この子面白いな。
「楓ちゃんとの話し合い終わったよー」
「ん、どうだった?
変なこと言われなかったか?」
カエデのことだからそんなことはないとは思うが一応聞いてみた。
「バッチリだったよ!
私が快人くんのことを語ったらすぐに認めてくれたよ!
後は普通に話してただけ」
松本さんは親指を立ててそう言った。
可愛いなこいつ。
調子乗るだろうから絶対に言わないが。
「そうか、まあとりあえず座れよ。
椅子でもベットでも好きなとこどーぞ」
「じゃあ、失礼しようかな」
そう言って俺の横であるベットに座った。
「で、どんなお話する?」
「とりあえず、松本さんが学校に行くと性格が変わる理由が知りたいかな」
「おけおけ!」
おい!そんなに軽くていいのか?!
「えーとね、家ってお父さんが私の子供の頃に死んじゃって、母子家庭なんだよ」
「そ、そうなのか」
いきなり重い話になったな。
「それでね、お母さんが必死に働いて私を育ててくれていたの。
でね、私が小学校高学年ぐらいの時に喧嘩しちゃってお母さんが学校に呼び出されてしまったんだよね」
「たまにあるやつだな。
俺の親も何回か学校に呼び出されていたよ。
申し訳ないと思ってるけど。」
「私のお母さんは忙しいなか何とか時間を作って学校に謝りに行ったの。
その時、私は、ただでさえ忙しいお母さんをもっと忙しくしてしまった罪悪感が半端じゃなかったの。
そして、その時に決めたの問題を起こさないようにしよう。
外では、特に学校では大人しい、良い子を演じようって」
「そうだったのか結構しっかりとした理由があるんだな」
「まあ、今はお母さんも出世して休みも給料も増えたから別にこんなことしなくても良くなったんだよね。
でも辞めるきっかけがなくてねぇー」
「おい、俺の感動を少し返せ!」
もう一つ気になっていたことがあったのでこのさいだから聞くことにした。
「そう言えば、松本さんってモデルの仕事もしてたよね?
それなのに俺の事好きとか言って大丈夫なの?」
「あーモデルねーモデル。
今、仕事減らしているのは快人くんも薄々気づいていると思うんだけど、別にモデルの仕事をそこまで頑張らなくても良くなったんだよね」
松本さんは一年の頃は授業を犠牲にしてモデルの仕事に行っていたが最近はしっかり授業受けているなぁーとは思ってたんだよな。
「なんでって聞いても?」
「さっき言った通り、昔は家って経済的にも結構キツかったから私がモデルの仕事をして少しでもお金を稼ごうと頑張ってたんだよ。
でもお母さんが出世して給料が結構増えたのと、モデルの仕事で結構貯金も出来たからやる必要性が無くなったんだよ。
今は、好きだから趣味みたいな感じでやってるだけだから、快人くんとモデルの仕事どっちとる?って聞かれたら快人くんって答えるよ」
松本さんがモデルを頑張ってたのにはこういう背景があったのか、少し見直したかも。
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