第14話【兄妹のスキンシップ】
「松本さんお待たせ、帰ろうか」
「あ、快人くん、美波、ちゃんと仲直り出来ましたか?」
「あぁ、バッチリだ!」
松本さんが心配そうな顔をしてたので少し大袈裟に言った。
「そうですか、よかったです」
松本さんは心底安心したように言った。
「それじゃあ、帰ろうか。
木下さんバイバイ」
「美波、バイバイまた来週」
「二人共バイバイ」
今日は金曜日なので次会うのは来週になる。
そうして木下さんと別れ家に向かった。
学校から離れ生徒を見なくなった途端松本さんが軽い調子で話しかけてきた。
「どう?美波は?」
「どう?って、意外にいい子だったよ。
ちゃんと松本さんの事を心配してるみたいだったし」
「ふふっん!
でしょでしょ!
あの子ちょっと思い込みが激しいところはあるけど根はいい子なんだよ!」
なんで松本さんがドヤ顔してんだよ、意味わかんねぇーよ。
そうして、特に意味の無い世間話をしながら帰っていると家の近くで、妹のカエデを見つけた。
「お、カエデだ」
「そうみたいだね。
話しかけよう!」
「待って。
これ少し持ってて」
そう言い松本さんに鞄を渡した。
その後、俺は軽くストレッチをした後、カエデに向かって猛ダッシュした。
「ちょ、快人くん!」
ビックリした松本さんの声が聞こえてくるが俺は無視してカエデに向かって走る。
カエデは松本さんの声で振り向き、俺を認識する。
それとほぼ同時にカエデに抱きついた。
「おー!
カエデー!
会いたかったぞー!
抱きつかせろ!そして抱きつかせろ!最後にキスさせろー!」
そう言ってカエデに抱きつき、社交ダンスのクルクルさせるやつをやった後、もう一度抱きつき、キスをしようとした。
「ちょっと!
お前何してる!
やめなさい!」
たまたま通りかかった警察の人が止めに入ってきた。
「こら!
やめなさい!
この子も嫌がって、ない!?」
そうである。
ブラコンの妹がシスコンの兄に抱きつかれているのだ。
その時のカエデの顔はどうなっているか?
そんなの簡単だ、ニコニコ笑顔に決まっているじゃないか!
その後、警察の人にこれは兄弟のスキンシップだと説明したが、外でそんな紛らわしいことをするなとめちゃくちゃ怒られた。
「お兄ちゃんのせいで怒られちゃったじゃん!」
「お前も一緒になってやってたじゃないか」
「逃げられなかっただけだよ!」
「じゃあ、あのニコニコ顔はなんだ!」
「そ、それは」
「あの〜二人共、私の事忘れてない?」
しまった!
完全に忘れていた!
「そ、そんなことはないよ?
さぁ、家に帰ろうか」
その後、松本さんにジト目で睨まれながら家に帰った。
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