第3話【喫茶店にて(前編)】
チリンチリン
「いらっしゃいませ。
2名様でよろしかったでしょうか?」
「はい、出来れば端の席がいいのですが空いてますか?」
「はい、空いてますよ。
こちらへどうぞ」
松本さんがどんな話をしようとしているかはわからないが、出来るだけ誰かに聞こえないようにしようと思い、店員に端の席にしてもらえるように頼み、案内された席についた
。
「話す前に何か頼もうか。
俺は珈琲でいいかな。
松本さんはどうする?」
「んー、じゃあ私も珈琲で」
「すみません。
珈琲2つお願いします」
店員に注文をし終えたので話を切り出すことにした。
「で、松本さん俺に話しってなに?」
「まぁ、簡単に言うと告白かな」
「またまたご冗談を。
もしかしてなんかの罰ゲームかな?」
「違うよ、本気の告白」
「えーと」
「いや、待って。
今日、返事を貰おうとは思ってないから。
そもそも、今返事を貰ってもごめんなさいに決まっていることぐらいわかるし。
だから今日は宣言しに来たんだ」
「宣言?」
「そう宣言。
あなたを絶対に虜にしてみせます。
今日からどんどんアピールしていくから覚悟してね」
「随分とカッコイイこと言うんだね。
そういうタイプだっけ?」
「最近は流行ってるらしいよ肉食系女子。
学校では少し猫かぶってるからね。
そんなんじゃ佐藤くんは落とせないと思うから素で勝負しようかなって」
「猫かぶってるって。
まあ今の方が話しやすいしいいと思うよ。
あと結構俺の事見てるね。
ちょと怖い」
「ちょ!怖いとかやめてよね!
高校の合格発表の時から気になってたから何かと佐藤くんのこと見てたから多少はわかるよ」
「合格発表?
てか松本さんって俺の事好きなの?
俺なにもした覚えないんだけど」
「やっぱり覚えてないかー。
いや、これを言ったらわかるかな?
私って高校入学するまで学校の時は赤メガネに三つ編みだったんだよ」
「ちょっと待って!」
合格発表、赤メガネ、三つ編み、なんか覚えがあるぞ!
思い出せ!思い出すんだ佐藤快人!
「あ、思い出した!
人が多すぎて合格発表が見えなくて困ってた女の子か!」
「そう!その女だよ!
あの時は、人が多すぎて合格発表が見えないけど猫かぶってたから押しのけて見に行けないし、誰も助けてくれない。
なんで1人で見に来てしまったんだろう。
お母さんか友達に一緒に来てもらえば良かった。ってめっちゃ後悔してたんだよ。
その時に佐藤くんに助けてもらってとても嬉しかったんだ」
「この際だから言ってしまうけど。
あの時の行動も言葉も俺が考えてやった事じゃないよ。
それに心からの優しさだったわけでもないんだ。
高校受験が終わって暇だったからジンに漫画を借りてたんだ。
その漫画に合格発表の時に困っている女の子を助けるってシーンがあったんだ。
俺はその漫画にめっちゃハマっていたから漫画と同じことをしてみたいなぁーと考えていた時に松本さんを見つけて漫画とほぼ同じ行動をして言葉をかけただけなんだ」
「そんなこと最初からわかってたよ。
そもそもあんな行動やセリフを普通の人が自分で考えて出来るわけないじゃん。
でも私が助かったのも事実だし、優しいと感じたのも事実なんだよ。
それに気になっていたのはその時からだけど好きだと思ったきっかけは別にあるんだよ」
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