TWINS REAPER

向風歩夢

第1話 突然の殺害予告

「あんたには今ここで死んでもらう」


 オレは美少女に日本刀を喉に突きつけられ、殺害予告を受けていた。おいおい、これは一体何の冗談なんだ? 一度頭の中で状況を整理しよう。


 オレは体育館裏に呼び出されていたんだ。呼び出してくれた御相手は学校でも一、二を争う美貌を持つ少女である。

 誰もがスマートフォンという携帯端末を持つこの時代に、メールやSNSでなく、わざわざ下駄箱に手紙を入れて体育館に呼ぶなんて古風なことをするもんだと少し疑問に思った。普通に考えれば、悪友のいたずらに違いない。だが、仮にいたずらだとしても行かない理由などないだろう? オレはいたずらの可能性を疑いながらもワクワクした気持ちで、体育館裏に向かったのである。


 すると、そこにいたのは……、美少女だった。間違いなく、学校で一、二を争う美少女本人である。オレは心の中でガッツポーズを繰り出した! 美少女が体育館の裏に呼び出す。それも一人だけで! これが意味するのはたったひとつじゃないか! しかし、この喜びの感情を表に出すのはダサいだろう。オレは平常心であることを装いながら、少女に質問した。


「ど、どうしたの? 急に呼び出すなんて……」


 すると美少女は無言でオレを睨み付けてきた。あれ、もしかして愛の告白なんかじゃない? なんか怒ってるみたいだけど……、オレこの子に何か悪いことしたっけか?


 ……まったく心当たりがない。オレが戸惑いながら思考を巡らせていると……、少女がボソボソと小さな声を紡いでいる。なんだ、なんだ? オレに話しかけているわけではないみたいだが……、と思っているうちに彼女の独り言が終わる。と同時に彼女の体を光が覆い始めた。オレが呆気に取られていると、目の前の少女の服装があっという間に変化する。早着替えとかそんな話ではない。戦隊ものの変身ヒーローのように一瞬で服装が変わったのである。


 美少女の外見は普段見慣れた学校の制服から黒づくめの全身タイツのような服装になった。現実離れした光景が目の前に広がる中、何かの映画で見た女スパイの戦闘服のような衣装だな、とオレは緊張感のないことを考える。彼女の変身が終わったとき、既にその右手には日本刀のような刃物が、左手にはピストルのような形状のものが握られていた。どちらか片方だけでも物騒だってのに両手に別々の武器を持ってるなんて欲張りすぎじゃないか?


 オレは慌てて逃げ出そうとしたのだが、彼女が猛スピードで間合いを詰め、 オレの喉元に刃物を突きつけてきたのだ。情報整理終わり!

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