第122話 これがキメハラか

 美容室へ行った。

 この大寒波の中、髪を切ることにしたのだ。

 僕の髪を切って、かれこれ10年ほどになる美容師は、僕の要望など聞かない。

 聞いても無駄だと知っているのだ。

 だから思い切りよくバリカンで2ブロックである。

「桜雪さん、鬼滅観てます?」

「いや…なんか箱から女の子が飛び出して暴れる話…くらいしか知らない」

「観ます?」

 タブレットで1話からアニメを観せてきた。

「うん…最初はカゴなんだ…箱じゃないんだ」

「そうですよ、この人、私の推しメン‼」

「そうなんだ」

「もう少しすると、コレが出てくるんです」

 気づけばキャラのキーホルダーが並べられている。

「コレ揃えるのに大分、お金使ったんですよ…メルカリで買えば安かったんですけどね、揃えてるときは夢中で…」

 2時間ほどの時間の中90分は鬼滅の話であった。


「コレがキメハラってやつか…」

 外に出るとメッチャ頭が寒かった。


 そして、アニメ4話まで観たからレンタルしようかなと思った。

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