第82話 3桁見えてきたな

「桜雪さん、7日出張」

「?」

 このコロナ禍で…とは思わなかった。

 それ以上に困った問題があるのだ。

 スーツのサイズが…

 家でスーツを何着か着てみた…

「無理だ…肉がBodyにキャストオンしてやがる」

 仕方なく、量販店でスラックスを買うことにした。

 迷うことは無い。

 入るなり

「すいません、ウエスト測ってください」

「はい……98くらいだと、少し余裕をもって履けるかと思います」

(マジか…1m夢じゃねぇなぁ)

 悪夢なわけだが…

「あと…ベルトも買います」

「はい…コチラになります」

(おっ、コレ、カッコいい)

 手に取ると店員さん…

「オシャレなんですね…ソレ…その…はめてみますか?」

「はい」

 店員が口籠ったわけがわかった。

 穴がギリ…

「通常だと3個目の穴に通すのですが…そちら95cm対応でして…その…コチラは110cmまで対応ですよ」

(途端に地味じゃねぇか…)

 とはいえベルトもサイズを外すとカッコ悪いわけで…

「コレにします」

 値段が上がって…デザインは妥協って…負のスパイラル。


「じゃあ明日お願いします」

「はい、ありがとうございました」


 家に帰って一応確認してみる。

「おいおい…誰だよコイツ」

 そう…ワイシャツもピチピチだった。

「ダメだ…明日、ワイシャツも買うわ」

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