第28話 やれば出来る

 覚悟を決めた。

 タイヤ交換しよう。


 夕方、バイトが終わってから、車を持ち込んだ。

 私の車はCR-Zだ。

 とにかく狭い。

 タイヤは3本を後ろに、1本は助手席に、クソ狭い。

 というか車の背が低い。


「今日、タイヤ交換ですか…いや~閉店まで満杯で…」

 それとなく断られる。

 まったく、とっとと替えればいいものを、世間の冬へのナメた態度に腹が立つ。

 自分の事は棚に上げて…。


「待ちますんで…支払PayPayで」


 さて何時間待つのやら…

 店内はヒマそうなんだけどな~。


 30分ほどして…

「桜雪さま、交換終わりました」

 愛想のいい店員がやってきた。

 ここの店はレジの態度は最悪だが、ピット作業者の対応は抜群にいいのだ。

「はい?」

「いや、終わりました、ピットに回ってください」

「えっ? 待つんじゃなかったの?」

「丁度、ピットに空きが出来たんで、先にやったんです、どうぞ」

「はい」

「締め付け確認しますので、チェックお願いします」

「はい…なんか申し訳ないですね、こんなに早く対応してもらって」

「いえ、タイミングよく空きが出たので」

「ホント、ありがとうございます」


 基本、僕は偉そうなヤツには2段上から対応するのだが、低姿勢には1段下がって対応するのだ。


「レジのババア2人は大嫌いだが、ピットの2人は大好きだ」

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