Dawn

槻坂凪桜

第1話

 夜明けを迎えた東京の街に、黎明を告げる鐘の音が響く。


 布団の中で目を覚ました私は、重い瞼を擦って上体を起こすと、微睡んだ窓辺に歩み寄って閉ざされた硝子をゆっくりと開いた。


 朝の清涼な空気と共に、微かな風が私の頬を撫でて行く。


 景色を滲ませる朝霧の中に、溶け込んだ明治の街並みがぼんやりと見えた。




 これは、明治を舞台に紡がれた、少年と少女の恋のお話。

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