ノンフィクション50:フィクション50の女性の話

寿司

彼女の話

私の友人にはどういうわけか美人が多いのだが、

その中でも殊更の美人がいる。

まさに猫のような女性で合うたびに違う男性と寝ているし、

下手くそであったら二度と寝ないし縁も切るらしい。

かと言って、うまくても続くわけではないようだから難しい女性だ。

実家のおかげか、一人暮らしの大学生とは思えないほど金回りもよく、奔放に遊び歩いている。

どうにも彼女が言うには許嫁がいて、

大学卒業のすぐ後に籍を入れなければならないらしく、

それまでは自由に遊ぶのだという。

モデルのような美人でとても知性的な女性と来たから、

私が口説いてみせたことも何度かある。

勿論、毎回ひどく適当にかわされるのだが、それすらお互いに楽しんでいる節がある。

しかし、先日のことだ。

友人何人かで飲んだとき二人で外にタバコを吸いに出て、

彼女にいつも通りいい加減に声を掛けた。

すると、貴方が下手くそだと二度と会えなくなるからだめだと笑いながら返してきた。

ほんのちょっと得意げに笑うその顔を見て、ほんの少しだけ悔しかったが、

君の半分程も経験がないだろうから、降参するしかないと伝えると、

彼女はちょっとだけ嬉しそうに笑って、

貴方が上手かったら困ってしまうからと付け加えた。

女性が人のものになることをこれ程惜しく思ったのは初めてだったと思う。

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