第10話 気まぐれな猫の様な

日曜日の朝、カーテンを開けば大粒の雨がベランダを汚していた。

憂鬱な休日。家事は昨日で粗方終わらせてしまったし、今日は久しぶりに散歩でもしようかと考えていた私を嘲笑うかのようで、外れた天気予報に恨みを募らせる。

冷蔵庫を開けて、牛乳を一杯注いで、電子レンジにつっこんだ。

タイマーは3分。ジジジと鳴るオレンジの明かりが暗い部屋にぽつんと浮かんだ。

チンと呼ばれ扉を開き砂糖を二杯混ぜ込んで、湯気の立つホットミルクをひとくち呑み込んだ。

幸福な温度が、憂鬱も溶かしてくれるような気がした。

甘い匂いに誘われて、みぁと猫の鳴き声。

「あめ、おいで」

飴色の毛色をしているから、あめ。

名付けなんて安直くらいが丁度良いよと笑った君の顔はもう朧気で。きっとホットミルクの中にまとめて溶けてしまったのだ。

雨の音は静かに続いていて、ゴロゴロと喉を鳴らす猫のようだった。

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