馬鹿騒ぎの結末



 激痛に悲鳴をあげるタイチ。思わず捕まえていた手を放してしまった。ニヤリと笑ったイチヤが、すぐにそこから脱出しようとする。


 しかし首にかけられていたタイチの右足のホールドは、思ったよりもガッシリと絡んでいた。


「あ、頭が外れない……わ、わ!」


 バランスを崩したイチヤが後退あとずさる。一歩、また一歩、そしてプニッと。


「え?」


 イチヤの足が何かとても柔らかいものを感じた。


「ったぁぁぁーーーい!!!」


 右のお尻を踵で思いっきり踏まれたアイが、猫みたいな悲鳴を上げた。


 そのあまりの音量に、アイとタイチ以外のみんなが耳を塞いだ(タイチはお尻の痛みでそれどころじゃない)。


 びっくりして起き上がるアイ。そうすると、お尻に乗っていたイチヤの足も、勢いで持っていかれる。


「ま、待って! いま立たれたら!!」


 結果、柔道の払い腰をくらったように、イチヤの体が真横を向いた。まだ絡みついているタイチの体も一緒に。


「うわ!! 手が動かない……お、落ちる!!」


「……」


「いたたたたた!! さすっても痛いの取れないよぉ。アザになったらどうすんだ、こらイチヤ!! え? え? きゃあ!!」


 ろくな受け身も取れないイチヤ、イチヤに絡みつきながら無言で急所の痛みに耐えるタイチ、そして巻き込まれたアイ。三人はそれぞれの表情で、まとめてベッドから落っこちてきた。その先には――。


「わ、わ、ちょっと、ちょっと。こっちに来ないでくれ!!!!!」


「え、嘘でしょう? ……いや、きゃああ!!」


 ドッカーン!!!!


 アイの家全体を揺らす、ものすごい衝撃だった。バリバリと何かが割れ、バシャッという液体の飛散る音がした。とどめにテーブルがひっくり返る振動が響いた。


 結局この一連の大騒ぎは、勉強部屋にいた四人がひとつの肉団子みたいにくっついて、終わった。

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