三鷹さんと合流した美香さん
剛埼さんに褒められたおかげで、あっさりと味方になった三鷹さん。
あっさりしすぎたせいもあって、遅れてこちらに来た美香さんは、すぐに状況を理解できなかった。
「何事?」
着いてすぐに発した言葉が、それを物語っている。
無理もない。
剛埼さんに泣きながら抱きついている三鷹さんの姿を見たら、僕だって同じような反応をしたはずだ。
未だに僕だって、信じられないから遠い目をしている。
仲が良くなったのは喜ばしいことだけど、どうしてここまで懐いてしまうのか。
剛埼さんの存在がそうさせてしまうのか、三鷹さんがちょろすぎるのか。
どちらでもありそうだ。
「え。あれは、放っておいた方が良いの? あんまり話しかけたくないわ……」
「僕も同感だね。あー、銃を向けられた甲斐が全くなかった。あはは」
「えっ? 銃を向けられた? 大丈夫だったの?」
「う、うん。大丈夫だったよ。この通り、撃たれていないからね」
穴の開いていない額を見せて、心配ないとアピールをする。
しかしそれを見せても、美香さんは心配の色を浮かべたままだった。
「結果的に大丈夫だったとしても、危ないことはしちゃ駄目でしょ。もし死んでいたら、どうするつもりだったの? 私は、絶対に悲しいからね。本当に止めてね」
「いてっ。ご、ごめん。もう絶対にしないから。意外に痛い」
小さな怒りをぶつけるためにか、彼女は僕の額にデコピンをし続ける。
それが可愛らしいものだったらよかったけど、勢いが良すぎて僕の額が痛みを蓄積している。
どんどん痛くなってきて、さすがに腕を掴んで止めたら、美香さんは泣きそうな顔で僕を見ていた。
そして、そっと小指を差し出してくる。
「……本当に、もう危ないことをしないで。約束して。お願い……」
そんな顔をされてしまったら、僕の罪悪感が刺激されてしまう。
目をそらしながら、それでも出された小指に自分の小指を絡めた。
「や、約束するよ。危ないことはしないようにするから。み、美香さんも危険なことはしないで。君が死んだら、僕も悲しいから」
「……うん。約束する」
こんな感じで、僕達は約束を交わす。
交わし終えて周りを見ると、剛埼さんと三鷹さんがこちらを見ていた。
「この二人は、恋人ということですか?」
「いや、まだだなあ。青春しているみたいだけど、変態君が男を見せていないってところだなあ」
「なるほど。確かに変態っぽいですし、男らしくないですね。先ほども、面白いぐらいに真っ青でしたからね」
こそこそと二人で話しているが、声が大きすぎて聞こえている。
三鷹さんも無様な姿を見せていたくせに、立ち直りが早い。
色々と言いたいことがあったけど、今は顔が熱くて何も言えなかった。
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