洋画的、ゾンビ物語

瀬川

よくある始まり方


 悲しいことだが、この世の中には二種類の人間がいる。


 それは出来る人間と、出来ない人間。

 この違いで、勝ち組になれるかどうかが決まってしまう。




 僕はどちら側かと言うと、もちろん後者だ。


 カースト最下位で、学校ではいじられ役ばかりしている。

 受け取りようによっては、イジメに近い。


 そして、その立ち位置を受け入れたまま、面白みの無い人生を送る。

 そう、思っていた。




 しかし今の僕は、燃え盛る炎の中で、両手で抱えるほどの銃を持って立っている。


 周りには、今までであれば関わりあわなかっただろう、カースト上位の人達が僕に向かって叫んできた。


「うてえええええええええ!」


「はやく!」


「やっちまえ!」


 その声を耳にしながら、冷静な頭で辺りを見回す。

 僕の方に向かって、勢いよく走ってくるゾンビの群れ。


 体から、血や内臓や肉が落ちていき、地面を汚している。

 見ていてあまり気持ちのいいものでは無いが、目をそらすことは無かった。




 一生、面白みのない人生を送ると思っていた。

 カースト最下位のまま、死んでいくのだと。


 しかし、今は違う。

 僕は銃を構えて、ゾンビの一人に狙いをつけた。

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