第466話―宝永じゃなく平成生まれの山脇東洋その弐―

二十代後半になっても異性との付き合いを俺は知らない。

当然その意味はビジネスパートナーや飲み会とか世間話などでは無く恋愛を行うことだ。こんな表現するのも、おかしいだろう。だけど俺がしっくりと来るのがコレだった。あまり親しくない人と話すのは得意じゃない、どちらかといえば苦手意識を持つ。

根本的にある問題が恋を知らないことだった。さすがにドキッと心を跳ねるような高鳴りをした経験はある。

だけどドキッとしたことと好きとは別問題であって一致しないと思うのだ。

中学ではそんな思考を至ったことがあるが薄々であって俗説ほどしか思っていなかった。だが周囲における恋人や

破綻をした話を教室で声高にする同級がおり耳にしたことがある。

その同級生は顔も名前さえ知らない、そしてその同級生も俺を知らない同じ空間にいるだけ。

高校生であった俺は、なかなか話を掛けてきたクラスもいたが馴染めずに

自然消滅を繰り返してきた。女の子にも話を掛けられたこともあったが思春期に持っているはずだった恋愛を謳歌するという野望めいたものは

湧いてこなかった。その年になって初めて悟った。これって恋愛経験または片思いをしていた学生生活をしていた者たちの思い出であると。それだけでなくドラマなどの影響も否定はしないが他にもあるかもしれない。

そう様々な要因をあることに俺がしたいと考えている恋愛というのは虚構の産物に過ぎないと至った。そして中学に否定していた俗説が信憑性が高まったと感じて定説ていせつくつがえすものとなった。

そして恋愛をすることに、未知の領域に踏み込むことに戸惑うようになった。どうにも先のことを考えすぎて過去や今よりも注意的になっていたかもしれない。

これまで誰かとデートすることも好意を抱いたことや持たれたことも無い。

もう恋をすることに諦念するようになってから隣に住む女子高生の峰島冬雅みねしまふゆかに、まさか玄関で告白をされるとは衝撃なことだった。

もし付き合った先にあるのは何かと俺は速やかに自動的であるかのようにシミュレーションを行った結果のたどり着いた答えは、お互い絶対に悪い方向に終焉を迎えることだった。

目の前にある年齢という壁だけでも破局の始まりだと容易に推測できる。

お互いの価値観や趣味が大きく異なっているだろうしデートプランだって、まったくといっていいほど違う。

大人のデートといえば千差万別とあるが食事がある。落ち着けるバーや高級店で関係を向上していく。少しスパイスを変えるようにファーストフードなどにも寄って気楽に話すこともある。

子供、これも個人や年齢にもよるが主に食事をするのはファミレスなどになるだろうか。

それに映画だって恋愛映画を見ようとしても年の差でスクリーンに映るのを重ねてみることなんて不可能だ。

きっぱりと断ることにしたが冬雅は、字面通り尻餅をついて泣き叫ぶ。

どうにかして、この悲痛な叫びを止められないかと必死に考えて迅速に考えた結果が落ち着くまで家に上がらせることだった。

なんの解決もしていないし問題が増えるのは常識的に考えれば分かる事だ。

だけど、慌ててしまった思考というのは他の情報をシャットダウンするみたいだ。傷心の冬雅は毎日と告白すると宣言した。もしかすると、その経緯にあったのは俺が上がらせて過去を語ったのが原因かもしれない。

ともあれ冬雅との始まりは小さなきっかけ。それからは運命的でや必然とも取り除いた必ず叶えようと奮戦する冬雅との付き合いが始まった。

――目を覚まして何度目になるんだと恥ずかしくも甘くさせる夢。

それが2年前になるのかと感慨深くなって立ち上がり、いつものように早朝のベランダで冬雅と言葉を交わす。

もっとも隣にある冬雅の自宅、そしてベランダとの境界とされる距離はジャンプして渡れるほど近い。

日課となった挨拶を終えると一階に降りて料理を作る。そしていい頃合いで冬雅がインターホン押したのがリビングに響いて伝わる。いつもの時間だなと声に出さず呟いて開扉かいひすると冬雅は、顔を近づいて言った。

――大好き!わたし山脇冬雅は、お兄ちゃんを生涯ずっと大好きです叫ぶことを誓います!

……また頭おかしいことを。

ただでさえ黒髪つややかなロングヘアに邪気など知らない純粋無垢な瞳。

美少女と称するには十分どころか十二分にあるほど容姿は整えすぎている。相変わらず肌が雪景色のようだと意識が失って見続けてしまうほど美しい。

それが息がかかるほど距離となれば鼓動が激しくなるのは自明じめいの理と思っていい。

これに対抗するには頭のおかしいことを冷たい言葉を心に吐かないと顔にすぐ出るどころか気絶する危険性もはらんでいると断言。

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